第20話

お人好し
1,785
2018/10/02 13:05


〈亜嵐side〉
 24歳になった日

自分の誕生日会なんか気にせずに
あなたさんの所まで走った思い出
亜嵐
亜嵐
はぁ……


諦める。とか言いながら
全然出来てねぇじゃん俺…



ホテルの部屋で
ため息をついたとき



コンコン
亜嵐
亜嵐
はーい


ドアを開けるとそこに立ってたのは
玲於
玲於
亜嵐
亜嵐
お、玲於
どうした?
玲於
玲於
ちょっと話したいことがあって。
中入っていい?
亜嵐
亜嵐
うん、いいよ



失礼しまーす
って入ってきた玲於

椅子に座って
亜嵐
亜嵐
で、話って何?
玲於
玲於
ねぇ、この前さ
俺諦める
って言ってたけど、、、あれ本気?



玲於が膝にひじを置いて
俺のことを見上げて聞いてくる
亜嵐
亜嵐
………うん、本気



本気。って

口ではどれだけでも言えるのに

実際出来てないのは事実で
玲於
玲於
じゃあ今、亜嵐くん
諦める努力。出来てる?
亜嵐
亜嵐
…………。



玲於は痛いところついてきて
玲於
玲於
………俺さ、

そんな亜嵐くん見たくねぇよ
亜嵐
亜嵐
え?
玲於
玲於
もう一回考えてみなよ

小さい頃からだよ。
ずっと忘れなくて、今やっと会えてさ
玲於
玲於
なのに………
まぁ言い方は悪いけど、、
急に横から出てきた人と良い雰囲気だからって
すぐ諦めんの?



玲於の言ってる事は
確かに正論で
亜嵐
亜嵐
…………でも
玲於
玲於
でも。じゃなくて

この前の誕生日会の時、
誰の為に途中で抜けたわけ?
亜嵐
亜嵐
……あなたさん…
玲於
玲於
スタッフ同士ですればいいのに
わざわざ連絡先交換したのは、?
玲於
玲於
初めてあなたさんを見た時、
会議に集中出来なかったのは?
亜嵐
亜嵐
……………。



玲於がしてくる質問に俺は何も答えられなくて
玲於
玲於
ほら。

龍友くんと良い雰囲気だった、なんて
そんなの言い訳にしかなんねぇよ…
亜嵐
亜嵐
……なぁ、玲於
玲於
玲於
ん?
亜嵐
亜嵐
俺さ、あなたさんのこと好きだよ。
玲於
玲於
うん、知ってる
だから…
亜嵐
亜嵐
でも、無理なんだって
亜嵐
亜嵐
俺がどれだけあなたさんと近付いたって
結局龍友くんには敵わない
亜嵐
亜嵐
正直言うと、
俺だって諦めたくなんかないよ



”諦めたくない”

これが俺の本音で。
玲於
玲於
じゃあ諦めないでよ
亜嵐
亜嵐
え、?
玲於
玲於
なに、龍友くんとあなたさんって
付き合ってんの?
亜嵐
亜嵐
分かんないけど
多分そうだと思う、
玲於
玲於
………もし俺が亜嵐くんなら
絶対諦めない。

自分の心に嘘はつきたくない


自分の心に嘘はつきたくない

なんて何かのドラマで言ってそうな言葉だけど
この時の俺には強く響いて
亜嵐
亜嵐
もし今ここで俺が
やっぱりあなたさんのこと好きだ
って言ったら、どうする?
玲於
玲於
どうする?ってなんだよ、笑

元からそうなんだから
やっと素直になったか。
くらいでしょ笑


………俺ってほんとだめだ。


諦めよう。って決心ついたら

また戻されて。


…ていうか心のどこかで
諦めきれない。
って言葉があって
それを玲於に引っ張り出されただけか
亜嵐
亜嵐
玲於、
俺ってほんと自分の意思がまとまってねぇわ
玲於
玲於
ふはっ笑
特にあなたさんのことになると、笑
亜嵐
亜嵐
でももうこれで、
自分の意思を貫くことにするわ
亜嵐
亜嵐
…俺はあなたさんが好き

これから何があろうと諦めない。
龍友くんには少し申し訳ないけど、
俺の方が想ってきたはずだから
玲於
玲於
うん、それでいい

申し訳ない。なんて
そんなのお人好しすぎる




諦めようとして、また戻って

次こそ諦めようとして、、

また戻って。



確かに玲於の言う通り
俺は”お人好し”かもしれないけど


9年間抱き続けてきたこの思いは、
今までもこれからも消えることなんかなくて

心の隅っこに強く居るんだ
亜嵐
亜嵐
玲於、色々とありがとな
玲於
玲於
ん、
亜嵐くんが間違った方向に行かなければ良いだけだから笑
玲於
玲於
まずはツアー頑張ろ。



あなたさんの仕事って
ツアーに関わる仕事………


ってことは

このツアーが終われば
あなたさんは他のグループに、、、?
亜嵐
亜嵐
あなたさんってこのツアーが終われば
もう俺らとの仕事終わり、?
玲於
玲於
え、?

あぁ、確かにそうかも



ということは、あと残された期間は


約4ヶ月
玲於
玲於
亜嵐くん、
もうあんまり時間無いよ。

頑張って



頑張って。って言葉に



内心焦ってる俺は
頷くことしか出来なくて
亜嵐
亜嵐
…………頑張る

って根拠のない言葉を言うことしか出来なかった

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