〈亜嵐side〉
24歳になった日
自分の誕生日会なんか気にせずに
あなたさんの所まで走った思い出
諦める。とか言いながら
全然出来てねぇじゃん俺…
ホテルの部屋で
ため息をついたとき
コンコン
ドアを開けるとそこに立ってたのは
失礼しまーす
って入ってきた玲於
椅子に座って
玲於が膝にひじを置いて
俺のことを見上げて聞いてくる
本気。って
口ではどれだけでも言えるのに
実際出来てないのは事実で
玲於は痛いところついてきて
玲於の言ってる事は
確かに正論で
玲於がしてくる質問に俺は何も答えられなくて
”諦めたくない”
これが俺の本音で。
自分の心に嘘はつきたくない
なんて何かのドラマで言ってそうな言葉だけど
この時の俺には強く響いて
………俺ってほんとだめだ。
諦めよう。って決心ついたら
また戻されて。
…ていうか心のどこかで
諦めきれない。
って言葉があって
それを玲於に引っ張り出されただけか
諦めようとして、また戻って
次こそ諦めようとして、、
また戻って。
確かに玲於の言う通り
俺は”お人好し”かもしれないけど
9年間抱き続けてきたこの思いは、
今までもこれからも消えることなんかなくて
心の隅っこに強く居るんだ
あなたさんの仕事って
ツアーに関わる仕事………
ってことは
このツアーが終われば
あなたさんは他のグループに、、、?
ということは、あと残された期間は
約4ヶ月
頑張って。って言葉に
内心焦ってる俺は
頷くことしか出来なくて
って根拠のない言葉を言うことしか出来なかった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。