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第1話

久しぶり
3,070
2018/09/09 12:37
”あなた、もっと強くなって帰ってくるから”


待って、、、、
行かないで、、

貴方
貴方
……待って!!!


…………はぁ
貴方
貴方
夢か…


最近また見だした夢。



小さい頃、
お隣さんにすごくかっこいい男の子が居て


私は小さいながらもその子に恋してて


その子がいじめられてる時
いつも助けて、

自分より下の子に助けてもらうなんて
駄目だね。
なんて笑うんだ


でもその子、、、



高校に上がる時に
上京する。
って東京に行っちゃった


”あなた、もっと強くなって帰ってくるから”
って好きな笑顔で笑いながら言って…



一瞬で私の前から消えた

私、まだ覚えてるから


だから早く帰ってきて、、
貴方
貴方
…なーんて。

帰ってくるわけないか

今どこで何してるかなんて
分かるわけがない


9年前のことなんて
きっと向こうは忘れてる



会えるかな。って思って
私も上京してきちゃって……


すぐ会えるなんて
そんな上手い話ないのに


バカだな私、、
貴方
貴方
はーーあ

そう呟いた声は

ひとり暮らしの部屋に虚しく響いた
貴方
貴方
よし、仕事行こっと

私の仕事は

イベントを計画したりする仕事


色んなアーティストさん達の
打ち合わせとか会議に出たりする
貴方
貴方
…行ってきまーす

…寂しいな

って思いながらも家を出る



〈亜嵐side〉
もうすぐで始まる
2回目のアリーナツアー


今日はその打ち合わせがあって
メンバーも気合いが入ってる
亜嵐
亜嵐
LIVEか~
隼
ついに2回目っすね~
玲於
玲於
2回目か
亜嵐
亜嵐
気合い入れてこ
裕太
裕太
亜嵐くん
あの子は来るん?


……あの子…か


あの子。っていうのは
俺が小さい頃隣の家だった子

上京する時に離れちゃって

今でも忘れることができなくて
メンバーには話したことあるからこうやって気にかけてくれる
亜嵐
亜嵐
いや~、
あの子はもう俺のことなんか忘れてるよ笑
龍友
龍友
なんや、
えらい弱気やん
隼
っていうか、
この亜嵐くんが今までずっと忘れなかった子っすよ?!
隼
もうそんなの、、、恋じゃないすか
亜嵐
亜嵐
いや、だって好きだし
隼
………………
亜嵐
亜嵐
え、笑なに、笑
裕太
裕太
なんで告白せんかってん!!
亜嵐
亜嵐
いや俺小さい頃その子に助けられてて
玲於
玲於
何から助けてもらうの?
亜嵐
亜嵐
俺よくいじめられてたんだよ
小学生の頃な。
その時よく助けてくれて
亜嵐
亜嵐
それで、その子のこと好きだったけど
告白しても駄目だ。
って思ったから、、
龍友
龍友
から?
亜嵐
亜嵐
もっと強くなって帰ってくるから
って言って、こっちに上京してきた
玲於
玲於
うわ、何その言葉。
亜嵐くん本当に残念なイケメンだわ
亜嵐
亜嵐
おい!笑
隼
いやなんかそれ
ドラマあるあるみたいな感じじゃない?!
その頃からずっと忘れられなくて
それで、また会って………
みたいな!!

めちゃくちゃ騒がしくなった隼




”また会う”

また会ったら、あの子はまた
亜嵐くん!!
って言ってくれるかな?
裕太
裕太
その子の名前何て言うん?
亜嵐
亜嵐
………………忘れた
龍友
龍友
はぁぁぁあああ?!
亜嵐
亜嵐
うわっ!びっくりした
玲於
玲於
もう亜嵐くん駄目じゃん。
好きな子の名前忘れるとかありえねぇ
亜嵐
亜嵐
だってもう9年前だよ
玲於
玲於
いやいや、
9年前でも好きな子は忘れねぇよ
龍友
龍友
まぁそれは確かにせやな
亜嵐
亜嵐
それに、向こうも忘れてるよ
龍友
龍友
そんなん分からへんやん
隼
ずっと待ってるかもしれないよ?
亜嵐
亜嵐
それに、
今あの子が何してるかも分かんないし
裕太
裕太
もしかしたら
亜嵐くんに会えるかも
ってその子もこっちに来てるかもしれへんし、、、
龍友
龍友
人生何があるか分からへんよ
亜嵐
亜嵐
そんな上手い話ねぇよ…笑
玲於
玲於
俺亜嵐くんが弱気なとこ初めて見たわ
隼
俺も思った
亜嵐
亜嵐
いーのいーの
俺はこれからも片想いで行くわ
龍友
龍友
君と目が合った時~
隼
すぐーにめをそらーしてぇぇぇ
玲於
玲於
おい隼
やめろその歌い方www


また騒がしくなってきた楽屋の中で


もしあの子が
まだ俺を覚えてくれているなら。



また会って、
ずっと好きだったよ。
って言いたい



って俺、、、めちゃくちゃキモい……

なんて一人で考えてたら


ガチャッ
涼太
涼太
おー皆揃ってるー
メンディー
メンディー
おはよー
隼
あー来た、王子とポテト!!
メンディー
メンディー
ポテト呼びやめろや笑
涼太
涼太
あ、なんか
もうすぐで打ち合わせ始めるから
会議室行こっかーって
マネージャーさんが。
亜嵐
亜嵐
了解ー
ありがと涼太
涼太
涼太
いいえ~

あ、なんか今日の打ち合わせ、
新しい人が来るって
隼
女の人??
涼太
涼太
そうそう
すごい働ける人。って
絶賛してたよ笑
龍友
龍友
へ~
なんか楽しみやな
玲於
玲於
亜嵐くんの好きな子だったりして
亜嵐
亜嵐
んなわけねぇよ笑
裕太
裕太
でもほんまにせやったら
運命やな笑


皆夢見るなー
とか心の中で思いながら


会議室に向かう


会議室の前に立って
少し身だしなみを整えてから


ドアを開ける




会議室の中に入って
最初に目があった女の人



その人を見て足が止まる
龍友
龍友
…うわっ!
止まんなや亜嵐くん


そんな龍友くんの声も頭に入ってこなくて

ずっとその女の人を見る



するとその女の人が
急に立ち上がって
貴方
貴方
あっ、、あの
挨拶が遅れました、、

今回、このツアーに関わることになりました
あなたといいます。
よろしくお願いします

…………………あなた………、?




名前を聞いた瞬間
バカみたいに心臓が騒ぎ出す
涼太
涼太
亜嵐くん。
俺らも挨拶しないと


涼太のお陰で我に返って
亜嵐
亜嵐
あ、、お世話になります。
GENERATIONSです。
よろしくお願いします
GENERATIONS
GENERATIONS
お願いします
貴方
貴方
お願いします!


そう言って勢いよく頭を下げたその人。



…………まさか…な
マネージャー
よし、じゃあ
そこの席に座って
打ち合わせするから
涼太
涼太
はい
涼太
涼太
ほら、亜嵐くん
座って
亜嵐
亜嵐
え?あ、うん

長机で四角に形作られていて
皆それぞれ椅子に座る



俺は大体、いつも端っこ
前は、、、あなたさん、


前を見たら目が合って
貴方
貴方
あ、えっと、
では今から打ち合わせを始めたいと思います

普通の顔で打ち合わせを始めて



やっぱ違うか。




メンバー皆も俺が様子おかしかったからか
俺をチラチラ見てたけど
打ち合わせが始まったら真剣になる
貴方
貴方
今回のステージは
円形になっていて、ファンの方と距離が近くなっているのですが何か意見がある方はいらっしゃいますか?

ステージの模型を見せながら
言うあなたさん
龍友
龍友
おー初めてやなこの形
玲於
玲於
うん、俺は良いと思うこの形
裕太
裕太
俺も
貴方
貴方
分かりました
パフォーマンスの構成等はメンバーの皆さんで話し合われて、また私に伝えてくだされば大丈夫です
隼
分かりました!
ね、亜嵐くん

俺が全く喋らなかったからか
隼が話を振ってきて
亜嵐
亜嵐
あ、はい
ではまた伝えます
貴方
貴方
よろしくお願いします

そう言って笑ったあなたさんは

小さい頃のあの子と被って



というか、
一つ一つの動作が被って仕方がない


最初見た時
周りに纏わるオーラがすごく被って


笑う時に出来る目の下の大きな涙袋も
髪の毛を耳にかける動作も

全てがあの頃と重なって


ずっとドキドキしてる


それからの話し合いも
自分でも分かるくらい上の空で

たまに我にかえって
また上の空になって

その繰り返し。



リーダーなのに何やってんだ
って思うけど



こんなの上の空にならない方がおかしい

気付けばもう終わっていて
玲於
玲於
亜嵐くん
もう終わったよ
亜嵐
亜嵐
……え?あ、お、そっか
龍友
龍友
帰るで
亜嵐
亜嵐
うん


まだ資料を整理してるあなたさんを見たら
亜嵐
亜嵐
ごめん、先に戻ってて
勝手に足が動いて
亜嵐
亜嵐
あの、連絡先交換しません、、?
貴方
貴方
、え?!
亜嵐
亜嵐
あ、、いや、あの
ツアーのこととか色々連絡したりするので使った方が良いかと、、
貴方
貴方
あ、はい、!
こちらこそよろしくお願いします


携帯を出して交換して



お礼言った後
急に恥ずかしくなってから
足早に会議室を出る

楽屋に戻って
亜嵐
亜嵐
ただいま
龍友
龍友
おーー、おかえりー
裕太
裕太
そっかそっか。
あの子やったか
隼
いやー、まじドラマですよね
え、まってください。
やばくないすか
玲於
玲於
運命レベルだわまじで
まぁ亜嵐くん忘れてたけど
涼太
涼太
へー、あの子だったんだ
メンディー
メンディー
なんかすごい優しそうな子だったね
亜嵐
亜嵐
ちょちょちょちょちょい
皆落ち着いて
隼
ん?


いや、ん?じゃねぇし…笑

亜嵐
亜嵐
あなたさんがあの子かは分かんないよ
玲於
玲於
いやでも
あの亜嵐くんの反応見たら分かるわ
龍友
龍友
亜嵐くんずーーーっと
あなたさんのこと見てボーッてしてたからな
亜嵐
亜嵐
いやだってめちゃくちゃ被ったから
裕太
裕太
そんなんもう
その子以外に何があるん
涼太
涼太
ほら、、あの、、、
ドッペルゲンガーとかいうやつ?
亜嵐
亜嵐
俺だってめちゃくちゃ心臓バクバクだったんだって
亜嵐
亜嵐
びびったわ、似すぎて。
でもあなたさんは俺のこと全然知らなかった感じだし
玲於
玲於
じゃあもうあれじゃん。
あなたさんのこと好きになれば良いじゃん。
本人じゃなくても良いし
まぁ本人だったら尚更良いし
龍友
龍友
でも、そんな簡単にいけば
恋じゃないねんな~


メンバーがずっと俺のことで話してて


俺もよく分かんなくなってきたけど



でも確かに分かったのは、

あの頃の気持ちが出てきた気がして
今日一日心臓がうるさかったのは


俺はそれだけ恋してたんだ。
ってことで
本人かは分からないけど

久しぶりに感じた
胸の苦しさに


少し嬉しくてどこかもどかしかった

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