”あなたさんは覚えてないかもしれません…”
”俺、、、、”
俺、、、、の後は、、?
何を言おうとしたの?
あのことが気になって
会議もあまり力が入らなかった…
仕事に私情は持ち込みたくないけど
でもさすがに15分前にあんなことされたら
力が入らなくなるのは当然だと思う
心臓がうるさくて
キューッって締め付けられてるみたいで
バックハグ………か
うわぁぁぁもぉぉぉぉ………
なんて言ってたら
掛かってくる電話
相手は亜嵐さんで
こういう時に掛かってくるなんて
漫画かなんか、、?
なんて思いながら受け取る
、、、、なんで
そういうことばっか言って、、、
私を好きにさせようとするの、??
私はちゃんと、
探してる人が居る。
………なんて
急にそんな質問
気になるといえば、
それはもちろん亜嵐さんで。
似てるし、、、
よくあの子と被る現象も起きるし、、、
何にしろ
今日のあのことがあったから
気になるのは亜嵐さんだけど
亜嵐さんですねー
とか言ったら、変に思われそうで。
よし、こうなったら嘘をつこう
あえて亜嵐さんとは
違うタイプの男の人を言った
亜嵐さんの声が一気に暗くなって
そう言った声は
本当の元気なんかじゃない
取り繕った元気で。
電話が切れた後に
特有の機械音が耳に響く
あの声、、、
完全に無理してる声だった。
気を遣ってほしくて言ったわけじゃない。
ただ、私が変な事を言ってLIVEに支障が出たら最悪だし
……そういう意味で言ったのに
あぁもう私駄目だな
………ていうか、
なんで私こんなに
亜嵐さんのことで悩んでるの、?
ついこの間までずっと
頭の中にはお隣の子しかいなかったのに
そんなことを一人の部屋でポツンと。
自分の気持ちに気づいてもおらず、
お隣さんの正体が亜嵐さんなんて思ってもおらず、
今の電話ですれ違ってしまったことも知らずに、
ただ一人嘆いていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!