先輩の実家に行くために電車に乗っているが
緊張で心臓が今にも口からとび出そうだ
先輩の言う通りにゆっくり深呼吸するが
緊張はやはり収まらない
確かにそれが一番だと思い
目を瞑り寝る事にした
幸い電車の心地いい揺れもありすぐに眠りに
つくことができた
先輩の実家に向かっていた事を思い出し
一気に目が覚める
そう言って先輩は俺の荷物も持ち
スタスタと歩いて行く
焦りながら先輩について行き駅を出て
タクシー乗り場の近くを歩いていると
女の人がこちらに向かって手を振っている
そうこう話しているうちに先輩のお母さんは
どんどん近づいてきていた
そう言って先輩に笑いかけた顔は
俺の大好きな先輩の笑みによく 似ていて
なんだか一気に緊張が解けた気がした
ニッコリと笑いかけながら
握手の手をさしのべられて慌てて
その手を握り返しながら挨拶する
それじゃあ行きましょうかと言いながら
ドアを開けてくれて車に乗り込み
先輩の家に向かった
住宅街の二階建ての家で
庭には花がたくさん咲いていた
すると2階からドタドタという騒がしい
足音とともに高校生くらいの女の子が走って来た
先輩の方をチラリと睨みながらも
ニコリと笑いながら挨拶してくれた
思ったよりもフレンドリーで圧倒されながらも
ほっとして頬が緩んだ
ボソッと言ってたけど
完全に 受けとか攻め って言ってたよね!?
何はともあれいい人そうな人達で良かった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!