ピピピピッ ピピピピッ…
(うるさいなー…あぁ目覚ましか…)
菜穂は両手をゆっくりとあげ背伸びをした後、目覚ましをとめた。またいつもと同じ毎日だと思うと気持ちが上がらない。
菜穂はいつものように枕元にあるスマホを手に取った。
私は中学生1年生。
去年の7月、菜穂の兄(中学3年生)は交通事故で亡くなった。かなりひどい状況だったため、次の日にはあの世に旅立ってしましった。お兄ちゃんの事は決して忘れない。いや忘れたくない。
「ん…??」
首を傾げた。菜穂のスマホの画面には名前がない一件のメールがあった。
「なんだろ…??」
菜穂は画面をタッチした。
【久しぶりに今日会えるね!これからもよろしくお願いします】
菜穂はますます首を傾げた。これがいわゆる迷惑メールってやつだ。だが別に気にしなかった。自分にとっては今は別に重要ではないと判断したからだ。
菜穂の部屋は2階にある。そのためいちいち階段を降りて食卓に向かわなければいけない。
「はぁ…めんどくさいな。」
菜穂は降りる足に体重をかけながらゆっくりと降りた。
「おはよう!菜穂~」
菜穂のお母さんはテーブルに皿を並べていた。
「今日はねー菜穂がずっといきたがっていたペットショップにいくわよ!ご飯食べたらすぐいくから準備しといてよー!」
菜穂の今までふさがっていた喜ぶという感情が久しぶりに一気に開いた。
「いいの!?やった!」
菜穂に新しい世界が始まる気がした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。