第6話

メグのおもちゃ
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2018/05/03 08:50
「メグー遊そぼー☺」
菜穂は、退屈そうに手を舐めているメグに言った。しかし、メグはまるで菜穂が言っている事を無視するように、そっぽを向いた。
「多分、菜穂と遊ぶ事がいつも一緒でつまらないと感じたんじゃないかな?」
「ニャー」
台所で皿洗いをしているお母さんがいきなり割り込んできた。確かにいつも菜穂はメグと家にあるキーボードを一緒に弾くことしか、してないが、メグもお母さんの話に共感したように鳴かなくてもいいだろう。
「な、なわけないでしょ!大体メグと遊ぶおもちゃがないのよ!」
菜穂はお母さんの発言に腹立ったのか、物のせいにしてしまった。
「うーん。確かにそうねー うん。わかったわ!買いに行きましょ!」
菜穂は嬉しかった。大好きなメグと一緒に遊ぶ事が増えるのが楽しみで仕方がなかった。
菜穂はメグを抱いて車に乗った。


「着いたわ!」
お母さんがニコニコして言った。
「ここ、どっかで見たことあるような…」
菜穂は悩んだが、思い出す事が出来なかった。
「昔お兄ちゃんと一緒に来たわね。あの時は二人ともに自転車を買ったあげるため…だったかな?」
「ああ、そうだったね」
お母さんも少し忘れかけだ。お兄ちゃんとの記憶は忘れたくなかったが、こんなに簡単に忘れる事に悲しさが沸いてきた。メグも表情を暗くしている。
「…行くか!」
「うん」
菜穂たちは、デパートの中に入った。
さすがデパートだ。あっちもこっちもキラキラしている。
「えーっとねー猫のおもちゃは…」
お母さんはそこそこの方向音痴なためいつも探すのに時間がかかる。
「ニャーニャーニャー!!」
メグがいきなり鳴きだした。メグが鳴いてる方向を見てみると、そこには見覚えのある自転車があった。
「こ、これって…」
そこには、兄が使っていたデザインと同じ自転車があった。
「お母さん!お兄ちゃんの自転車だよね…!」
「そ、そうだわ…!なんでメグが??」
菜穂にもお母さんにもわからない。なぜメグがこの自転車に鳴いたのか。だかしかし1つだけ分かった事がある。それはメグはこの自転車に興味があるということだ。
「メグ、その自転車欲しいの?」
「ニャー!」
メグは自転車のそばに行き、サドルの上にのった。
「買うか…メグもこれしか興味なさそうだしね!」
お母さんはしょうがなさそうに言った。
「ほんとにめぐみに似てるのね!」

菜穂とメグは自転車に一緒に乗って、家に帰ったのであった。

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