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第1話

親交パーティー
2,601
2019/11/24 22:07
 今日は四年に一度、運営軍で行われているらしい親交パーティーに参加することになった。今回初参加なので自己紹介的な挨拶をすることになっているのだがうまくいくか不安で仕方ない。
 昨日は書類があって寝れなかったが一日ぐらい寝てなくても大丈夫だろう。
「Nakamu準備出来たの?」
「うん、後服着るだけ……あれ?」
 きんときに返事をし、クローゼットを開けるといつも着ているパンダパーカーはあるがスーツが入っていたなかった。
「ねえきんとき、スーツ無いわ」
「え?嘘でしょ!?」
 俺的にはパンダパーカーでも問題ないが、らっだぁさんから「服装は基本皆スーツだよ」と聞いていたので浮いてしまうだろう。
「めっちゃ緊張する」
「いつものNakamuで大丈夫。やらかさなければね」
「もうやらかしてるんだよなぁ」
 俺達は車に乗り込み、運営軍のある青鬼国へと向かった。
 青鬼国に着くと、国中が盛り上がって陽気な雰囲気が漂っていた。街並みを楽しみたいため車から降り、軍基地に向かって歩くことにした。
「それにしても物凄い盛り上がりだな」
「いやシャケそれな、スマイルももっと楽しめよ、おい」
「俺は十分楽しんでるぞ」
 至るところから甘い匂いがし、俺はクレープの屋台に足を止めていた。
「あ、Nakamu~やっぱり目を離すと直ぐ何か買おうとする~」
「別にいいじゃんか、ベリーベリーのクレープを一つください」
「あ、もう普通に楽しんでるよ」
 甘い甘いクレープを食べながら歩いているといつの間にか軍基地に着いていた。まだ食べ終えていなかったがまぁ良いだろう。
「ら民のおいよと申します。白尾軍様、会場までご案内いたします」
 おいよさんに案内され、会場に入ると並べられた料理とスーツ姿の人達が目に入る。スーツ姿の人達はステージの方を注目していた。凄い緊張する。
「あ、あ、あ。皆様お集まり頂き誠に感謝申し上げます。親交パーティー主催者の運営軍総統、らっだぁと申します。皆様どうかお楽しみ下さい!」
 主催者挨拶も終わり、次は自分達の挨拶の番だ。何でスーツ無かったんだよほんと。
「えー白尾軍のNakamuと申します。この度は親交パーティーの主催者らっだぁさんを始め、沢山の関係者に深く感謝申し上げます。今回初参加という身ですので皆様と親しく出来ればなと思っております」
 うん、最後まで言えた。よし、これで捌ければ終わるな。
「あっ……」
 何故かバランスを崩して転んでしまった。あーあ、やらかした。
「Nakamuさん大丈夫ですか?」
「レウクラウドさん、大丈夫です……ちょっと緊張し過ぎたのかもしれません」
 そう、緊張しただけだ。徹夜のせいではない。
「これにて開会式を終わります。皆様ご自由に食事、雑談、外交なさって下さい」
 コンタミさんの言葉が終わると同時に金属同士がぶつかる音が会場内に響く。これはもしや内ゲバではなかろうか。
「なぁグルさん、まずは外交という話をしたよな?なんでケーキなんか食っとるんや!」
「別に食べてからでいいだろ!トン氏は厳し過ぎるんだ!」
 内ゲバの原因が親子の喧嘩にしか思えない。まぁ流石我々軍さん。
「お!Nakamuやん、さっき転んどったけど大丈夫なん?」
「あ、コネシマさん!緊張し過ぎただけなので大丈夫です。恥ずかしいところを見せてしまいましたね」
 スーツを着ていると誰が誰か分かりにくいな……まぁ自分はパーカーなため浮いていて分かりやすいが。
「watoさん前!」
「アイクさんわかっとるって……て、うわぁ!」
「え!うわぁ!」
 コネシマさんと話していると水色のパーカーの人がぶつかってきた。なんか今日運悪いのかな。
「ごめんごめん!もうアイクさんのせいやからな!」
「何でですか!?」
「えーと、あかがみん王国のアイクさんとwatoさんやっけか」
 あかがみん王国……あの有名の王国の人!?なんか物凄く申し訳ないな。
「な、なんかすみません」
「悪いのはwatoさんなので大丈夫ですよNakamuさん?でしたっけ」
「あ、はい」
「なんかNakamuとwatoさんって似とるな」
 似てる?俺とwatoさんが?そんなことあるわけないじゃないか。
「確かに前髪の分け方は逆だけど似てなくはないですね」
「そんな似とる?……あ!Nakamuさんこっち来て」
「え!?」
 手首を掴まれ誰も居ない部屋に連れてかれる。watoさんは今から何するきなんだ?
「服、入れ替えてみよ?」
「服を入れ替える?」
「似とるんやったら服入れ替えてもバレんかもしれんやろ?前髪の分け方も変えてさ?どう?」
「わかりました……やります」
 ちょっとどうなるか気になるし、その案にのろう。どんな反応するのかな。
「Nakamuさん、俺似合っとる?」
 俺のパンダパーカーを着たwatoさんは鏡で見た自分と結構そっくりだった。
「なんか鏡で見た自分みたいです」
「なら似合っとるな!」
 watoさんは自慢気に笑うと、また俺の手首を掴み、会場まで連れてかれた。俺に兄は居ないが、もし居たらこんな感じの人なのかなと思ってしまう。
「皆絶対ビックリするで!」
「案外あっさり気付かれたりして」
「これは友情が確かめられるな」
 会場に入るとアイクさんとコネシマさんが待っていたのか手を振っていた。まだ気付いていないみたいだ。
 さて、これからどう楽しもうか!

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