第20話

初めてのデート?⑵
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2018/08/29 12:09


喫茶点を出る時には


もう、辺り一面が夕焼け色に染まっていた。


「山田さん...」


俺を呼んだ彼女の声は悲しそうだった


「明日も、お仕事なの?」


『明日は午後から。だから今夜、泊まってってもいい?』


すると彼女の顔がぱっと明るくなり

大きく首を縦に振った。


「そしたら、私も行きたいところがあるの。」


『じゃあ、行こっか。』


彼女も行きたい場所取りを“秘密!”と言って

教えてくれなかった。


「山田さん、目閉じて。」


言われた通りに目を閉じて


彼女から腕を引かれたからそのまま歩いて言った。


『え?なになに。笑』


「目、開けて?」


ゆっくり、目を開けるとそこには



暗闇を華やかに彩る

光のイルミネーション


『すっ...げぇ...』


「ここ、山田さんと一緒に来たくて。」


イルミネーションを背景に

微笑む彼女は

いつもと違う魅力で溢れていた。


もう、辺りは暗いし

バレないだろうと思い帽子とマスクを外す


『行こう。』


差し伸べた左手に

小さくて少し冷たい彼女の手が重ねられた。


思う存分イルミネーションを満喫した後


近くのベンチに座って、二人で光を眺めた。


あなたさんとゆっくりと過ごす時間は

とても幸せで自分でも大好きな時間。


「今日、帰ってきてくれたとき驚いてなにも言えなかったけど、すっごく嬉しかった。」


彼女はどこか一点を見つめながら


ゆっくりと続けた


「1人の日々がつまらなく感じてたから
私本当に山田さんの好きなんだなぁって...」



たしかに自分もこの3日間、あなたさんのことしか考えてなかったような。

仕事のときはしっかり切り替えるけど


それ以外はほとんど彼女のことで頭がいっぱいだ。



『たとえ離れてても、俺はずっとあなたさん
のこと思ってるよ。』


っていう俺も本当に君のことが好きすぎるんだよなぁ


『帰ろっか。』


そう言って、もう一度手を握った。

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