《はーい、カットー!!》
「お疲れ様。明日も朝からここで撮影だから今日はゆっくり休んで。」
『はい。』
番組ロケのため地方に訪れた俺は、マネージャーからそう告げられた。
個室で着替えて、身支度を済ませるとマネージャーが予約してくれたホテルに向かう。
つもりだったが...
久々に地方にやってきた事だし、もっとこの町を満喫したいと思い、近くのカフェへと足を進める。
だが、自分は芸能人だ。
もしバレたりしたら大騒ぎになるに違いない。
少し不審がられるかもしれないが、安全のためサングラスとマスクを着用して行くことにしよう。
カランカラン...
ドアを開けると、そこは想定外だった。
アンティーク調の家具や観葉植物
いかにもオシャレな雰囲気を漂わせている。
カフェ巡りが趣味の自分にはたまらない。
思っていたより人は少なくて安心した。
人目につかないように店内の隅の席に座るとメニューに手を伸ばす。
(確か...苺のパンケーキだったよな)
このカフェに来た理由も、もちろんこれ。
大ちゃんが、絶賛してて店を教えてもらったら運良く、今回のロケ地の近くだったってとこ。
いざ、注文しようとすると...
『あ、あれ?』
ここって店員の呼び出しボタンって無いの?
え。
ってことは声...?
だけど、もしバレたりしたら...
『どうすれば...』
そのとき
「あのっ...」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。