第23話

ふわりと漂う
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2018/09/18 10:00



『えっ...?どうして「いいからっ」




「ここっ」





自分の隣をポンポンと叩く彼女


言われたとおりそこに座ると




「じゃあ、乾かすね!」




『あっ、えっ?』



そういうことだったんだ...


いきなりで驚く俺に構わずドライヤーの電源を入れる



するとあなたさんの手が俺の髪に触れた。


なんだろ...


ドキドキが...



そのあと少し沈黙が続き、あなたさんが口を開いた



「山田さんの髪、私とおそろいだっ。」




最初はどういう意味か分からなかったけど


同じ香りがするって言いたかったんだと思う。





『うん、おそろいだね。』




俺がそう言うと


彼女がふふっと笑ったような気がした。


________




「はいっ、終わり〜」





『ありがと。』




いつも思うけど



あなたさんと話していると




時間があっという間に過ぎてしまう





『じゃあ、次は俺ね。』




場所を交代して、次は彼女の髪を乾かしてあげる。




長く経ったせいか




半分ほど乾いている状態にあったあなたさんの髪。




茶色で肩につくくらいのミディアムヘアからは


俺と同じシャンプーの甘い香りが



ふわりと漂っていた。



「私、こういう恋人っぽいことしたことないの。」



“だから今すっごく幸せ!”



と喜びを噛み締める彼女




本当にかわい...




『俺も幸せだよ。』



恥ずかしかったから少し小声で呟いた。

ドライヤーの音でかき消されていますように。

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