第11話

会えなくなる前に⑷
706
2018/08/21 12:36




「まだ、帰らなくて大丈夫なの...?」


長く抱き合ってたせいか

時間なんて全く気にしていなかった。


それより


『なんで知ってるの?俺が帰ること。』


そう言うとあなたさんは微笑んだ



「やっぱり。なんかそんな気がしたんだ。」



...



「離れちゃうね...」



ほら、また泣きそうな顔

俺はずっと彼女を見つめていた。



「コーヒー、冷めちゃったかな?」


確かに、さっき入れたばかりのコーヒーにはもう湯気が立っていない。


「入れ直してくるね...」





「そんなのいいからっ」






立ち上がろうとしたあなたさんの腕を掴んで慌てて引き寄せた。


「今は、少しでも長くあなたさんと一緒にいたい。」


そのとき


溜まっていたものが溢れ出したように


彼女頬を一筋の涙が伝った____






君の目を細めて笑う顔も



涙を堪えて明るく振舞おうとしてる顔も




全部俺だけのものにしたい...





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『またすぐ会いに来るから。待ってて。』


「うん...」


『ほら、そんな顔しない』


『あなたさんに1番似合うのは笑顔だよ。』


すると君は少しだけ、笑顔を見せてくれた


「うん、ありがとう。」


やっぱりその顔見たら帰りたくなくなる...


「忘れ物とかないよね?」


『大丈夫!』



『.....いやある。』



「えっ?」








そして君の唇にキスを落とした





君はまた笑顔になるのを見たかったんだ



「気をつけて。」



『うん。あっちに着いたら連絡するから。』





そして君は俺が見えなくなるまで見送ってくれた。









『よしっ、仕事がんばりますか____』








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