「まだ、帰らなくて大丈夫なの...?」
長く抱き合ってたせいか
時間なんて全く気にしていなかった。
それより
『なんで知ってるの?俺が帰ること。』
そう言うとあなたさんは微笑んだ
「やっぱり。なんかそんな気がしたんだ。」
...
「離れちゃうね...」
ほら、また泣きそうな顔
俺はずっと彼女を見つめていた。
「コーヒー、冷めちゃったかな?」
確かに、さっき入れたばかりのコーヒーにはもう湯気が立っていない。
「入れ直してくるね...」
「そんなのいいからっ」
立ち上がろうとしたあなたさんの腕を掴んで慌てて引き寄せた。
「今は、少しでも長くあなたさんと一緒にいたい。」
そのとき
溜まっていたものが溢れ出したように
彼女頬を一筋の涙が伝った____
君の目を細めて笑う顔も
涙を堪えて明るく振舞おうとしてる顔も
全部俺だけのものにしたい...
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『またすぐ会いに来るから。待ってて。』
「うん...」
『ほら、そんな顔しない』
『あなたさんに1番似合うのは笑顔だよ。』
すると君は少しだけ、笑顔を見せてくれた
「うん、ありがとう。」
やっぱりその顔見たら帰りたくなくなる...
「忘れ物とかないよね?」
『大丈夫!』
『.....いやある。』
「えっ?」
そして君の唇にキスを落とした
君はまた笑顔になるのを見たかったんだ
「気をつけて。」
『うん。あっちに着いたら連絡するから。』
そして君は俺が見えなくなるまで見送ってくれた。
『よしっ、仕事がんばりますか____』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。