北斗side
家に帰ったら、必ず眺めるものがある。
それは、幼稚園の頃の俺と空が薬指にビーズの指輪をつけて、笑い合っている写真。
ずっとずっと、あの頃に戻りたいと思っている。
いまの空と俺はずいぶん変わってしまった。
空とは、ほぼ話さないし、俺は彼女いるし。
ってか、全部俺のせいだけど。
中学生の頃まではよかった。
学校で話していなくても、お互いがお互いの思ってることを汲み取っているようだった。
それが今はどうだ。
話しもしない、家の行き来もしない。
終いには、言い出した方の俺が彼女を作るなんて。
ほんとバカだと思う。
なのに俺は、毎日持ち歩いている。
幼稚園の頃のビーズの指輪を。
こんなこと、他のやつに知られたら、ぜったい引かれる。
だけど、そんなことより、空との思い出の方が大事だ。
なんて考えてたら、家のインターホンが鳴った。
誰だろうと思い、インターホンを見る。
まさかの空だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。