第7話

この8年間
605
2018/09/04 10:11
シルク
シルク
どうぞ。
あなた

お邪魔します。

あなた

うわぁいつも見てるまんまだ。

シルク
シルク
えっ
あなた

一視聴者としてFischer’s の動画見てるよ。

シルク
シルク
ほんとか?
あなた

うん。

シルク
シルク
これ。
そう言ってシルクが差し出して来たのは
8年前、あなたがシルクの家の郵便受けの中に入れた手紙だった。
あなた

ごめんね。あんな別れかたで。
私もあの時自分に素直になっとけばよかったって思ってた。

シルク
シルク
いいよ。でもまずは何があったか詳しく話して。
あなた

うん。私は、実はハーフなの。でもフィリピン人と日本人のハーフだから全然分からないと思う。

シルク
シルク
俺も今初めて知った。
あなた

でもそのことで、小学校、中学校といじめられて来た。
時には変なメモが入ってたり、暴力を振るわれたり。
その時、お父さんの転勤が決まった。
その3日後軽い気持ちで図書館に最後の夏休みの宿題をしに行った。
そこでシルク、君と出会ったの。

あなた

教科書を落としてビクビクした。
これまでは教科書を落とすと、上から踏まれていたから。
だけどシルクは違った。優しく教科書を渡してくれた。
しかも一緒に勉強しようだなんて。
夢みたいだった。一緒に勉強した時間は2時間。
たったの2時間で私はシルクに恋をした。

シルク
シルク
俺も最初は教科書落としちゃったんだなーって思った。
それで助けたら、めちゃくちゃ可愛い子だった。あの時は平成最後の夏。
まさか、俺が恋をするなんて思っても見なかった。
お前が行った後、マサイにこのことを話した。
何もかも。俺はやっぱお前に恋をしてた。
それは今も昔も変わらない。
だから、俺と付き合ってください。
あなた

はい…

あなた

(泣)

シルク
シルク
お前、ほんと泣き虫だなー
シルク
シルク
ほらおいで?
そう言って、シルクは大きく手を伸ばした。
私はシルクの胸元に飛び込んだ。
シルクの匂い。懐かしい。
そう思うたびに涙がジュワッと溢れ出していった。

プリ小説オーディオドラマ