私たちはギリギリ学校に着いた。
ただ、走ったので私は息が切れている。
じゃあ、藺は?ってなると…
『早くおいでよー!!』って楽そうに言う。
昔からそうだ。
私はどちらかと言うと運動音痴だ。
そして藺はとても運動が得意だった。
頑張ってそう言ったのに藺はもう居なかった。
本当に大変だ。
私は運動音痴な上、方向音痴なのだ。
大変だぁ…
この人なんかまふくんに声似てるな…
まさかね。
『まふまふ』と呼んだその人が「あっ、しまった」と付け足して言う。
『まふまふ』?ま…ふ…
「キーン」と効果音がなりそうな程、私は大声を出してしまった。
二人とも耳を塞いではいたが「うるさい」とは言わなかった。
・・・・・
いや、「言わないでくれた」か。
本当、私って最悪だなぁ…
名前を呼ばれたので吃驚してしまった。
しかも声が裏返って…
まふくん?(って呼んでいいのかな?)も「あっ、しまった」と付け足して言った。
二人、一緒に「何?」って言われたので少し怖じけずいてしまった。
だけど、
「そうだよ」
ポロ…ポロポロ…
その時、ふと、米津玄師さんの「Orion」のサビの歌詞が頭の中に入ってきた。
♪神様 どうか どうか 声を聞かせて
ほんのちょっとでいいから…
その歌詞がループされた。
私の
頭の
中で
あれ…何で私…
泣 イ テ ル ノ ?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。