第68話

chapter 66
1,699
2022/08/19 11:54
莉桜
あなた、緊張してるん?
あなた
う、うん
久々の体育館

それに昨日の事を思い出すと恥ずかしすぎて

今にも顔が燃えそう…

夏休みにも関わらず体育館はギャラリーでいっぱい

その中を掻き分けてやっとの思いで2階フロアから

みんなが見れる場所に出れた
莉桜
はぁ…北さんや
かっこええなあ
あなた
え、それいいの?!
莉桜
なんでや
あなた
だって治くんとつきあ
私がそこまで言いかけると莉桜が物凄い勢いで

私の口を塞ぎ なんとも言えない変な顔をしている

すると何かと視線を感じそっちを見ると

双子くんの団扇 主に治くんの団扇をもっている

女の子からの視線だった
あなた
治くんとついつい目で追っちゃうよねぇ…
莉桜
せ、せやな
苦し紛れの発言

文章もめちゃくちゃだが女の子達は私達から

双子くんに視線を移し 声援を投げている
あなた
ごめん…
莉桜
ほんま、気ぃつけてや。
うち殺されんで
あなた
けど、付き合ってるのにいいの?
私たちは小声でこそこそ話している

また聞かれたら次こそ言い訳なんて出来ない
莉桜
んー、前にも言うたけど推しは推しやし
それはそれこれはこれって別物なんやで
あなた
ふーん。そういうものなんだ
嫉妬とかないのかな?
莉桜
あれがする訳ないやろ笑
あなた
そうかなー?
莉桜
バレーとご飯の事しかないような奴やで?
そんなんしたら天と地がひっくり返るわ笑
あなた
けど…
莉桜
あ!角名くんや!
ほら応援し!
私が言葉を発しようとすると遮られ

莉桜が指を指す方を見ると角名くんが

助走をしスパイクを打とうとしていた
あなた
あ!!あれ?!
角名くんの目の前にはしっかり人が飛んでいて

打ったらその人の手に当たるのかなって思いきや

全然違う方向に飛んで行った
莉桜
角名くん凄いよな。
なんやろな、こう上半身がくいって
斜めになるんよな
あなた
そうそれ!
普通飛んでる間に体制崩しそうなのに
莉桜
侑が言っとったけど角名くんは
体幹?が異常なんやて
だから体勢があの形になっても大丈夫やって
あなた
すごいな…
角名くんのスパイクを見れば見る程

意味がわからなくなる

ブレなさすぎて…初心者の私が見ても凄いのがわかる

私がぽけーっと角名くんを見てると

目が合い手を振ろうとすると直ぐにそらされた
あなた
気づいてなかったのかな…
莉桜は横で北さんを見てかっこええ

綺麗やなあって永遠に言っていた。

話は戻って治くんは莉桜が好きで付き合ったなら

北さんの事で絶対嫉妬するよね…
あなた
んー…
私は治くんと莉桜の事や

角名くんの事を考えているとあっという間に

部活も終わっていた

午後から監督さん達が会議がある為午前中のみ
莉桜
帰ろっかー。
にしても暑いなあ
あなた
そうだねー、帰りにアイス食べたい
莉桜
あなたん家沢山アイスあるやろ笑
あなた
そうだった…
あれどうにか消費しなきゃ
昨日 一昨日で皆が持ってきてくれたアイスがぱんぱんに

冷凍庫には詰まってる
あ!七瀬さんと莉桜やん!!
遠くから侑くんが結構大きい声で私達を呼んだ

その後ろには治くんと角名くん

角名くんとは練習中何度か目が合ったが全部直ぐに

逸らされていた
莉桜
今から着替えるん?
せやで!だからちょっと待っててや
すぐ着替えてくるからな
そういい2人を引っ張っていった侑くん

私は今しかないと思い莉桜と2人で裏門に

行きながらもやもやを話した
あなた
莉桜ー。
私 角名くんに嫌われてるのかな
莉桜
んなわけないやろ
あなた
だって今日角名くんと目が合ったのに
何回も逸らされたんだよ?
莉桜
ほーん。
莉桜は頷きながら角名くんもやりおるなあ

と感心していた。
あなた
私は真剣に悩んでるのに
莉桜
んー、あなたは角名くんに
そういう態度とられて嫌いなったんか?
あなた
んーん。嫌いにはなってないけど
なんで逸らすんだろう
いつもはしてくれるのにって考えちゃう
嫌われたのかなとか
莉桜
はは笑
それが狙いやで笑
あなた
どういうこと?
莉桜
まあまあそれはあっちに聞きや
莉桜が指さす方には侑くんを真ん中に

角名くん 治くんが並んで歩いてきていた
待たせたなあ
莉桜
いうてそんな待っとらんよ
仲ええなあいつら。
さむも相当好きなんやろな
あなた
あ!ねえねえ侑くんちょっと
私はちょいちょいと侑くんにし

侑くんは ん?と言いながら屈んでくれた
あなた
莉桜の好きな人は治くんで
バレー部の推しは北さんって知ってるでしょ?
おん
あなた
治くんってそれで嫉妬したりしないの?
あー…
侑くんは元の体制に戻り少しむずかしい顔をしていた
めっちゃしてんで
せやけど莉桜に嫌われとうないって言うて
分からんようにはしとるんやと思う
練習中えらいおっかない顔しとるけどな
あなた
やっぱそうだよね 
なん話しとるん
あなた
なんもないよ
ただの世間話!
つむが世間話なんか出来るわけないやろ
出来るわ!!
その頭でか?
ああ、また始まってしまった…

すると莉桜が2人を引っ張り怒っている

お母さんか笑
莉桜
あなたは、角名くんと話しといてな
莉桜はコソッと私に話しかけ

また2人の元に走っていった

私は角名くんをチラッと見ると携帯を見ていて

話しかけていいものなのか頭を抱えていた
角名
ねえ
あなた
!!びっくりするじゃん!
角名
侑とやけに仲良いね
あなた
ちょっと莉桜と治くんの事を聞いてたの
角名
角名くんはそれだけ言うとまた

目を携帯に移し歩き出した
あなた
角名くんなんでそんな今日素っ気ないの?
角名
別にいつもと変わんないじゃん
あなた
変わるよ!だって目が合ってもすぐ逸らすし
手を振っても振り返してくれなかったじゃん
角名
うん。
あなた
素っ気ないじゃん!
角名くんは携帯から目を離さず話すものだから

少し怒り気味に言っていた自分がいた

すると急に笑いだし 私の目を見てくる
角名
ねえ、俺がいつもと違ったから
考えたの?笑
あなた
う、うん
角名
それに目が合っても逸らして欲しくなくて
手も振り返して欲しかったんだ笑
いつもならきっと 

違うとか否定的な言葉を使うんだろうけど

今日は 今は この言葉はだめだと自分の中で

確信していた
あなた
そうだよ?
手も振り返して欲しいし
目もあったらすぐ逸らして欲しくない
角名
ん、上手に言えました。
角名くんはぽんぽんと頭に手を置き

微笑んでいる。

セミの音や夏らしい音がうるさいはずなのに

私には何も音が聞こえない。

だから私が言った言葉に理解するのにも時間がかかった
あなた
角名くん、好き…
理解した瞬間角名くんの顔が見れずにいる。

見ればいい事なのに恐怖が勝ち顔を見れない。

角名くん、あなたは今どんな顔をしていますか?
角名
ねえ

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