第30話

質問
235
2020/06/13 13:06
碓氷 澪
1つ目は?
霧夜 蒼翔
お前が生き残りかどうか、生き残りならそのクラスで何を見たか。
碓氷 澪
それ2つな気もするけど…まぁ、いい。そうだよ、私は元狭霧高校3年2組。私以外はみんな死んだ。見たのは醜い欲と正義を貫いて友情を大切にしたせいで死んだ馬鹿。
口にしたせいで脳裏に浮かんだアイツの最期の笑顔を思い出して、私は思わず歯軋りをした。
碓氷 澪
……1つ目はこれでOK?
霧夜 蒼翔
ああ…
碓氷 澪
2つ目。
霧夜 蒼翔
お前はこのDEATH GAMEについて何処まで知っている。
碓氷 澪
……ざっくりしてて意味不明。何を聞きたいの?生き残りなんだからある程度は知ってるのが当たり前でしょ。
霧夜 蒼翔
参加して分かることじゃない。過去、昔のDEATH GAMEについてだ。
碓氷 澪
あぁ…日本中の人が巻き込まれた…英雄殺しが終わらせたやつなら詳細まで知っている。前の先生にそのDEATH GAMEの報告書を貰った。
中身を見せなきゃ問題ない、そう判断した私は持っていた鞄から大きめの封筒を取り出す。
碓氷 澪
これ。DEATH GAMEの日時、対象、ゲームの形や内容について、守り神である狐の行動、神崎舞さんを殺した夜霧真さんのこと、狐達と狐に仕える暁月、火ノ神の今後の予定。まだ見てないけど、それより前のDEATH GAMEについての記録もあった。
霧夜 蒼翔
何でお前がそんなもの持ってんだよ。
碓氷 澪
私の前の先生、あのDEATH GAMEからずっと科学の力で生きている。何百年も終わらないと推測したDEATH GAMEを終わらす為だけに。
封筒をしまい、私は息を吐く。
碓氷 澪
これで質問に対する回答は終わり。君が友情を大切にしてDEATH GAMEを終わらそうとするのは別に構わない、勝手にすればいい。
関係ないから。
私が君と協力することなんてない、絶対に。
友情ごっこでも何でもすればいい。
碓氷 澪
ただその友情を私に押し付けないで。私は君達と協力する気はない。
そうハッキリと告げ、私は何も言わない蒼翔と死んだ優悠を置いて歩き出した。
地形を考えればどっちに行けばいいのかは何となく分かる。頼ることなんてない。
私は一人で勝つんだから。




















まだ温かいのにもう優悠が起きることは無い。
霧夜 蒼翔
ごめん、本当に…俺なんかの為に……
また俺の為に人が死んだ。
クラスメイトを殺した人殺しの俺なんかの為に。
???
生き残ったみたいだね。
トンっと誰かが地面に着地する音が聞こえて、振り返るとそこにはスマホのライトを俺に向ける涼の姿があった。
霧夜 蒼翔
スズ…
伊島 涼
その様子だと蒼翔じゃなくて、その子が自ら送った…って感じ?
霧夜 蒼翔
あぁ、俺が自分に送ろうとした時に飛び出してきて取られた…
伊島 涼
へぇ…つくづく蒼翔は運が良い。前の時だって本当は私いなかったんだから。
霧夜 蒼翔
お前、あの時何で俺のところに来たんだ?
伊島 涼
元いたとこの馬鹿が国際交流とか言って海外行って、私はぼっちでお留守番だったから暇で。
霧夜 蒼翔
俺以外にも場所はあるだろ。
伊島 涼
まー、良いじゃないかー、私がいたおかげで蒼翔は今生きている。政府からのお尋ね者だけどね。
間違いではない、確かに前回のゲームで俺はスズに命を救われたことがあった。
…だが、気になる点がいくつかあった。
霧夜 蒼翔
…スズは何者なんだ?
伊島 涼
え、いきなり?てか今更?
霧夜 蒼翔
ああ、今更。
伊島 涼
ふっつーに狐様の子孫だけど?蒼翔の遠い親戚でもいける。
霧夜 蒼翔
親戚……俺が狐様になる可能性も無くはなかった?
伊島 涼
私に聞かれてもねー。しーらない。そんなことよりその子、どうにかしよう。
霧夜 蒼翔
どうにかするって言っても…
伊島 涼
遺体を連れ回すのはキツいだろうから、せめて公園のベンチに寝かせるとかさ。こんなくっさいとこは良くない。
霧夜 蒼翔
………そうだな。

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