隼颯の声に反射的に蒼翔が否定の声を出す。
その声にクラスの視線は全て蒼翔に集まるし、隼颯の眉間にシワが寄る。
珍しいけど、私から見るとご最もですね。
まぁ、私が巻き込んだっていうのもあるけど、蒼翔のせいで巻き込んだって思われてるんだったらそれでいいかも。
友情のせいで死ぬのは誰かと一緒。
蒼翔が俯き、掠れた声を出す。
そんな蒼翔の様子を隼颯は鼻で笑った。
再び隼颯が涼を見る。
すると、涼は少し嫌そうな顔を浮かべて柚輝の背後へと下がる。
隼颯が強引に涼の腕を引っ張る。
涼が顔を顰めたその瞬間、瑠璃と柚輝の隼颯に対する目の色が変わった。
瑠璃が踏み出したとき、睨みをきかせた涼が隼颯の側頭部に蹴りを入れた。隼颯は体が吹っ飛び大きな音を立てながら机を薙ぎ倒す。
渚於が納得したように吹っ飛んだ隼颯を見て呟く。
涼は隼颯を見送った後、水に口をつけながら歩き、蒼翔の前で止まった。
かっすかすの声で途切れ途切れに話すと、涼は空いてる手で蒼翔の手を取った。
蒼翔の携帯が鳴り、涼が微笑む。
瑠璃に促され、机に伏せた涼からスグに寝息が聞こえてくる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。