第20話

狂った人格
317
2019/09/05 08:29
碓氷 紅春
お姉ちゃん、その子誰?
碓氷 澪
友達、伊島涼ちゃん。
伊島 涼
こんにちは〜。
碓氷 紅春
こんにちは!妹の紅春です!
伊島 涼
今日、お泊まりさせてもらうからどうぞよろしく〜…これ聞いていいことなのか分からないけどさ、2人は血が繋がった姉妹なの?何か顔が似てないって言うか…
悪気のない涼の質問に私達は動きが止まる。
でも、そんなに嫌がるようなことではない。


だって、事実なんだから。


私と紅春は血の繋がりがない。
紅春は私が10歳の時、家族と山にキャンプに行った際に一人でいるところを見つけたのだ。
確か話を聞いても自分の名前と年齢だけしか言わなかったような気がする。
取り敢えず、家で引き取ることになって引き取りが長くなって今の状態。
碓氷 澪
……まぁ、繋がってない、ね…
伊島 涼
繋がっていないのにそんなに仲がいいなんて素敵だね。…あ、そうそう。澪ちゃん。
碓氷 澪
何?
伊島 涼
お話したいから君の部屋でしない?せっかくのお泊まりなんだから。
碓氷 澪
いいけど…
碓氷 紅春
あとでお菓子持って行くね!
碓氷 澪
ありがと。
涼と一緒に部屋に行くと、入るなり後から入って来た涼がドアの鍵を閉めた。
碓氷 澪
何で閉めたの?
伊島 涼
そりゃ、妹さんに物騒な会話を聞かせる訳にはねぇ?
碓氷 澪
まぁ…で、話は何。
伊島 涼
どうしてあの時、帰らせたの?男子達の命が危ないんじゃない?
碓氷 澪
…別に後から死ぬんだから、先に死んでも変わらないでしょ。
冷たい声で言い返すと、涼は優しく微笑んだ。
そして、その涼の笑みに込められた意味が私には理解出来なかった。
伊島 涼
人間誰にでも死は訪れるもんねぇ…一部の人は除くけど。
碓氷 澪
え?
伊島 涼
桜華大社…知ってる?
碓氷 澪
もちろん。
伊島 涼
で、その桜華大社の宮司は?
碓氷 澪
明神柚輝。
伊島 涼
彼…気を付けた方がいいよ。目的の為になら何でもするから。昔、会ってたけど何も変わってない。
それだけを言うと、涼は鍵を開けた。
私に背を向け歩こうとしたところで振り返ると口元に手を当て、いつの間にか手に持っていたナイフを見て笑う。
伊島 涼
私はこのDEATH GAME…楽しみたい。だから、今は戻るね、みんな私のことを捜しているだろうし。澪ちゃんのことは別に言わないよ。
言い残すと、涼は部屋を出て行ってしまった。
何をしたかったのかはいまいち分からないけど、取り敢えず柚輝に注意した方がいいのと、涼が歪んで狂った性格の人だと言うことだけは理解した。


そんなことを考えていると、お菓子鉢を持った紅春が部屋に入って来る。
碓氷 紅春
あれ?涼さんは?
碓氷 澪
あ〜…家、思い出したって。
碓氷 紅春
せっかくお菓子持ってきたのに〜!
碓氷 澪
なら、私と食べよっか。
碓氷 紅春
うん!
紅春とお菓子を食べながら騒いだ夜、私は空をぼんやりと見つめていた。
きっと、あと少しで満月になりそうな月。


確かこの満月はブラッドムーンになるとかテレビで見たんだっけ…。
世の中の人が『ブラッドムーン』と言う言葉を聞いて真っ先に思うのがあの狐達のことだろう。


涼はあの頃の…"スズ"の記憶は無いの?
蒼士達と騒いだ頃のあの子は…何よりも身近な人達を大切にしていたあの子は……
碓氷 澪
あんなスズ知らない…狂ってる……。
今の私にはこれしか言えない。
そして、今の私にはそんな思い出は関係ない。
自らの手で仲良くしてもらったクラスメイトを殺し少しでも早く楽にするだけなのだから。
そろそろ便乗して殺し始めてもバレない。
命令で殺されただけと思う。
碓氷 澪
DEATH GAMEは終わりだよ、みんな…このクラスの命を犠牲にこの世界を平和な世界にする…
手に持つ銃を触り、改めて誓う。
すると、ベッドに投げられていたスマホから2回の着信音が鳴り響いた……。
11/05 00:00
To:GM
title:DEATH GAME
命令に背いたため出席番号03 大谷祐基、出席番号08 楠木隼颯、出席番号24 藤森龍希に罰を与える。


11/05 00:00
To:GM
title:DEATH GAME
※これは桜華高校3年1組の生徒が対象です
※24時間以内に命令に従いなさい
※命令に背いた場合には罰を与えます
※途中棄権は認めません

命令6:出席番号が小さい順に男女各5名ずつで人気投票をしろ。男女それぞれ最下位の者に罰を与える。また、最下位の者に投票した者にも罰を与える。

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