起きた私は久しぶりの朝ご飯を食べながらニュースを見ていた。
今頃、他のみんなは脱落メールがくる可能性も命令がくる可能性もあるから怯えてるだろう。
私にはもう関係ないけど。
みんなが死なないとDEATH GAMEは終わらないし。
次に映った写真と字幕に私は苦笑を浮かべる。
これはかなり派手なことになった。
映っていたのはいつしか見た水槽の中でフワフワと浮く涼の写真。
先生が言っていたかなり細かいところまで公開されていて、私は驚く。
私は無意識のうちにチャンネルを変えた。
何でもかんでもネタにして…
すると、スマホが鳴った。
意外にもグループではなく渚於から。
内容が通知に出てくるが、コーヒーを飲みながらそれを見た私は思わず噎せそうになる。
渚於【今日、学校だけど大丈夫?】
【こんな時にまだ学校あるわけ?】
【嘘。】
【普通にない。】
【この時間に起きてるか知りたかった。】
【何か用事?】
【まぁ、用事って言ったら用事だ。】
【命乞いしたいわけじゃないのは先に伝える。】
【じゃあ、何】
【記録に残さない為にも会って話がしたい。】
【今日、何処かで会うこと出来る?】
そこまで会話を進めて、私は返事を考える。
渚於は超現実的な思考を持っている。
嘘とかもつかないし、自分の意見を貫き通す。
と言って、正義感が強いわけではない。
自分にとっての最善策を選んでいるだけだ。
まぁ、渚於なら命乞いではないのは事実…
それなら、話だけでも聞くか…
【いいよ】
【何時に何処にしようか】
【頼んでるしお前に合わせる。】
【俺指定だと信用しにくいだろうし。】
【じゃあ、正午に桜華駅前に来て】
【駅前で話す気?】
【いや、それは無い】
【私の家で話そう】
【多分、私の家知ってるのさなくらい】
【分かった。】
【正午に桜華駅の前、でいいな?】
【うん】
【また後で。】
【後でね】
それよりもだ。
今のニュースのせいで狭霧高校でDEATH GAMEが起きていたことがみんなに知られた可能性がある。
ニュースで放送されたらどうしようもない。
過去を探られるのは1番嫌だ。
いつかはお父さんが死んだことも………
ずっと持っている斜め掛け鞄の中の手錠と拳銃を握って私は強く歯軋りをする。
消したテレビに私が反射して映る。
1ミリも上がらない口元に刺さるような冷たい目。
元からだからしょうがない。
正午、私は駅前に来ていた。
スグに私は渚於を連れて家に向かった。
あんな人が多い場所に長時間いる気はない。
駅から歩いて十数分。
見慣れた家の前で私は足を止めた。
家に入ると上の階に紅春はいるのか1階は静か。
それならと思い、リビングへと向かった。
リビングに渚於が入ったところで私は単刀直入に聞くことにした。
そう冷たく言い返すが、渚於は怯むことなく言葉を続けた。
渚於が当たり前のように返事をする。
いつ死ぬか分からないということをしっかりと認識しているように見えた。
確かに私の終わらせたい気持ちに嘘はない。
そして、立場が悪くなったのもご最も。
で、ここにそんな私の手伝いをしてくれる人。
しかもそれは現実主義な渚於。
つまり、この選択は渚於にとっては最善策。
それなら……
早速だけど…、と渚於が言うと持っていた鞄から1枚の紙を出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。