第26話

ニュース
301
2019/12/31 11:12
起きた私は久しぶりの朝ご飯を食べながらニュースを見ていた。
今頃、他のみんなは脱落メールがくる可能性も命令がくる可能性もあるから怯えてるだろう。
私にはもう関係ないけど。
みんなが死なないとDEATH GAMEは終わらないし。
ニュースキャスター
先日、国が所有する研究所での爆破事故について。政府は事故ではなく、何者かの手によって爆破されたという検証結果の報告が警察からあったことを明らかにしました。
ニュースキャスター
また研究所で管理されていたのは特異体質の10代の女性で爆破後に姿は確認されず。政府は写真と名前を公表し、警察と連携して捜索する方針を決定しました。
次に映った写真と字幕に私は苦笑を浮かべる。
これはかなり派手なことになった。
映っていたのはいつしか見た水槽の中でフワフワと浮く涼の写真。
ニュースキャスター
名前は伊島涼さん、18歳。過去に起きたDEATH GAMEにおいて"英雄殺し"と呼ばれた夜霧真の実の子孫だということです。
碓氷 澪
え。
先生が言っていたかなり細かいところまで公開されていて、私は驚く。
ニュースキャスター
何か知っている、この人を見た、という方はこちらの番号まで情報提供をお願いします。
ニュースキャスター
次のニュースです。
ニュースキャスター
福岡県内の高校で再び不審死が相次いでいます。9月に桜咲高校、狭霧高校でそれぞれ生徒31名が死亡し、この3件はDEATH GAMEと関連があるのではないかという話が出ていますが、政府や警察からの正式な発表は現時点ではまだないということです。
私は無意識のうちにチャンネルを変えた。
碓氷 澪
うっざ…
何でもかんでもネタにして…
すると、スマホが鳴った。
意外にもグループではなく渚於から。
内容が通知に出てくるが、コーヒーを飲みながらそれを見た私は思わず噎せそうになる。
渚於【今日、学校だけど大丈夫?】
碓氷 澪
はぁ?学校!?
【こんな時にまだ学校あるわけ?】

【嘘。】
【普通にない。】
【この時間に起きてるか知りたかった。】

【何か用事?】

【まぁ、用事って言ったら用事だ。】
【命乞いしたいわけじゃないのは先に伝える。】

【じゃあ、何】

【記録に残さない為にも会って話がしたい。】
【今日、何処かで会うこと出来る?】
そこまで会話を進めて、私は返事を考える。


渚於は超現実的な思考を持っている。
嘘とかもつかないし、自分の意見を貫き通す。
と言って、正義感が強いわけではない。
自分にとっての最善策を選んでいるだけだ。
まぁ、渚於なら命乞いではないのは事実…
それなら、話だけでも聞くか…
【いいよ】
【何時に何処にしようか】

【頼んでるしお前に合わせる。】
【俺指定だと信用しにくいだろうし。】

【じゃあ、正午に桜華駅前に来て】

【駅前で話す気?】

【いや、それは無い】
【私の家で話そう】
【多分、私の家知ってるのさなくらい】

【分かった。】
【正午に桜華駅の前、でいいな?】

【うん】

【また後で。】

【後でね】
碓氷 澪
渚於なら大丈夫だとは思うけど…
それよりもだ。
今のニュースのせいで狭霧高校でDEATH GAMEが起きていたことがみんなに知られた可能性がある。
ニュースで放送されたらどうしようもない。
過去を探られるのは1番嫌だ。
いつかはお父さんが死んだことも………
ずっと持っている斜め掛け鞄の中の手錠と拳銃を握って私は強く歯軋りをする。
碓氷 澪
私はやらないと…全部終わらせて…みんなにもう安心して眠ってって…その為なら……
消したテレビに私が反射して映る。
1ミリも上がらない口元に刺さるような冷たい目。
元からだからしょうがない。
碓氷 澪
私は救う為に殺す。
























正午、私は駅前に来ていた。
村上 渚於
待たせた。
碓氷 澪
別に大丈夫。行こう。
スグに私は渚於を連れて家に向かった。
あんな人が多い場所に長時間いる気はない。
駅から歩いて十数分。
見慣れた家の前で私は足を止めた。
村上 渚於
ここ?
碓氷 澪
そう。
家に入ると上の階に紅春はいるのか1階は静か。
それならと思い、リビングへと向かった。
碓氷 澪
いいよ。
村上 渚於
ありがとう。
リビングに渚於が入ったところで私は単刀直入に聞くことにした。
碓氷 澪
渚於。用事は何?
村上 渚於
俺はこの状況を終わらす為になら何でもする。お前を手伝わせてくれ。
碓氷 澪
…言ってる意味が分からない。命乞いにしか聞こえないんだけど。
そう冷たく言い返すが、渚於は怯むことなく言葉を続けた。
村上 渚於
今朝のニュースで全員が澪がGMだと疑い始めている。
碓氷 澪
やっぱり…
村上 渚於
既にまぁまぁの人数が澪を避けるって言うのを俺は聞いた。つまり、今のお前はクラスで孤立して情報集めも出来ないし動きにくいだろ?
碓氷 澪
まぁ…そうだね。
村上 渚於
でも、俺から見ててお前は人の死に関して興味無さげだけど、DEATH GAMEを終わらしたいって気持ちは見える。
碓氷 澪
……。
村上 渚於
蒼翔より澪の方が計画性があると俺は思っている。だから、この話をお前にしに来た。
碓氷 澪
……私がそれを聞いて、嫌って言ってメール送ったらどうするわけ?
村上 渚於
それまでだな。
渚於が当たり前のように返事をする。
いつ死ぬか分からないということをしっかりと認識しているように見えた。
確かに私の終わらせたい気持ちに嘘はない。
そして、立場が悪くなったのもご最も。
で、ここにそんな私の手伝いをしてくれる人。
しかもそれは現実主義な渚於。


つまり、この選択は渚於にとっては最善策。
それなら……
碓氷 澪
渚於。その言葉に嘘は無いね?
村上 渚於
勿論。
碓氷 澪
じゃあ…手伝って。取り敢えず、今は脱落メールをあんたに送らない。それは約束する。だからその分ちゃんと情報集め頼むよ。
村上 渚於
分かった。
早速だけど…、と渚於が言うと持っていた鞄から1枚の紙を出した。
村上 渚於
今、俺が知ってる限りのことについて話す。

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