スズを見てはっきりと言うと、スズはちょっと驚いた顔をしたが「そっか」と笑った。
そんなことがあるわけない。
みんな、自分の命が一番大切なんだ。
そんな…他人のために死ぬなんて極一部。
そう言い、私は公園を出た。
家に戻って、鞄にバッテリーと財布、幼い紅春が私のために作った御守りを突っ込む。
もし、何かがいたら……
階段を降りようとしたところで私は踵を返すと私でも紅春の部屋でもないもう1つの部屋へ。
少し埃っぽい、今度片付けしないとな…。
ここはお父さんの部屋。
お父さんの部屋、といってももうこの部屋に入る人は大掃除の時以外はいない。
だって、お父さんは殉職したから。
私が中2のときに何かの犯人を追いかけてた際、人質を救出しようとして人質は救出したものの犯人にナイフで刺された。
しかも、私の目の前で。
私は知っている。
お父さんが死んだ直後に大事件が起きて、殉職したお父さんのことを警察の人が忘れていることを。
私は知っている。
お母さんが物を隠すときにはお父さんの机の一番奥に書類で隠すように置いていることを。
私は知っている。
お父さんの形見で手錠がそこにあることを。
そして、私がお父さんが死んだときに魔が差して回収した例の物があることを。
机の引き出しを開け書類を退けて、手を伸ばす。
私が手に取ったのは傷付いた手錠と鍵。
あとは…黒く光る拳銃。
撃ったことはないけど、なんとなくなら分かる。
お父さんが練習場に行ってる時をいつも横で見ていたから。
2つを鞄に放り込むと、私はお父さんの部屋を後にしてリビングへ。
紅春のために書き残しを残す。
紅春へ
ちょっと用事が出来たから朝早くから出かけるね。
夜ご飯には帰ってくるよ。
お姉ちゃんより
そう残したところでスマホが着信音を鳴らした。
11/03 00:00
To:GM
title:DEATH GAME
※これは桜華高校3年1組の生徒が対象です
※24時間以内に命令に従いなさい
※命令に背いた場合には罰を与えます
※途中棄権は認めません
命令3:何も食べるな何も飲むな。20時間以上屋外にい続けろ。また、一度外に出たらそこから20時間は屋内に入ってはいけない。
掃除の日がズレてたら死んでたよ…。
さて、私は4時までに家を出たらいいんだね…
少しでも睡眠時間を増やそうと思い、出る時の服装に着替えて荷物をソファの横に置くと、私は3時半にアラームが鳴るように設定してソファで寝たのであった。
次に目を覚ますと聞き慣れた音楽が流れている。
もう、3時半…。
まだ寝たいと騒ぐ体に鞭を打って、起き上がる。
紅春もまだ寝てるようだし、ちょうどいい。
静かに言い残して、私は荷物を持ち駅へと向かったのだった…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。