私が野坂に着いたのは朝の9時頃。
今のところまだ蒼翔達の姿は見ていない。
何故、廃墟化した野坂に駅があるのかは知らない。
無人駅で駅をでると目の前にはフェンス。
「写真はここから撮ってください。」
この張り紙的に観光客向けか…。
防犯カメラもなさそう。
そう思い、私はフェンスに足をかけると次の電車が到着する前にとフェンスを登った。
ボロボロの町を歩くと生き生きと茂っている木々が生える山が視界に入った。
何となく気になってしまい、私は森の奥へ。
帰る道が分からなくなったのは気にするのをやめとこう…
何かに導かれるように奥へ奥へと進むとちょっと先の方に開けてる場所があることに気が付いた。
自然と早足になり、開けた場所に出るとそこには1つのお墓があった。
まだ枯れてない新しい花束が置かれている。
私はお墓の前にしゃがむと名前を見る。
背後から声が聞こえ、バッと振り返るとそこには私と同じくらいの男子と大きな獣がいた。
男子は警戒心MAXで私のことを見る。
私に言われ、驚いた彼は少し俯いて考え事をすると虎徹と呼ばれた獣を見ながら「いいか」と呟く。
急かされ立ち上がると私は迷いを見せずに歩いていく男子の後を追いかけた。
案内されたのは住宅街。
そして、三浦と書かれた古い家の前で止まると門を開けて中へと入っていく。
一度外に出た私は家の中に入ることが出来ない。
でも、中に用事があった私は庭へと回った。
いつも通りニット帽を被ってテレビを見ている先生が私が入って来たのを見て、スグにそう言った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。