瑠璃がそうニコリと笑ったとき、隣にいた蒼翔が動いたと思うと、瑠璃の肩を掴んだ。
何で蒼翔、貴方がスズのことを知ってるの?
"ちっこくてうるさい"、言ってる内容も同じ。
蒼翔の質問に渋々と答えると、瑠璃は公園から早足で出て行った。
対処なんて出来ないに決まっている。
ある意味、自分達の失態を隠すことに必死。
政府が終わらせて再び起きたなんてしれたらと考えて私達を隠蔽のために殺すかも。
そう呟き、私達に背を向けた柚輝。
出ようとしたところで何かを思い出したのか立ち止まった。
言いたいことを伝え終わり、柚輝も出て行く。
麗奈が公園からいなくなったとき、私の後ろから眩い光が放たれた。
ばっと後ろを向くと、そこには淡い青白い光を放つあの日、消えたスズが立っていた。
スズを見て、私達が固まる。
蒼翔が浮くスズの元に駆け寄るのを見て、2人に聞こえない声で私は呟く。
スズが掌を上にして手を差し出すとその上に画面が2つ現れた。
1つは前に見たのと同じ水槽に入るスズの体。
そして、もう1つは施設を外から映したもの。
相変わらず、何か悲惨な……
ペラペラと当たり前のように話すスズを初めて見る琳は凄い驚いた表情で見ていた。
柔らかく微笑んで琳を見ると、スズはその視線を今度は蒼翔に向けた。
琳が蒼翔の背中を押して、いなくなる。
それはつまり、やっと…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。