第27話

脱落メール
303
2020/03/24 18:47
(柚輝、瑠璃)

(蒼翔、琳、桜苗、春音)

(空良、希々花、雛、優悠、陽琉)

俺、澪、吹樹、涼
村上 渚於
これが現状だ。
碓氷 澪
1番多いので5人か…
村上 渚於
空良の鶴の一声ってやつだろ。優悠は流されるようについて行った。雛と陽琉は蒼翔達の方に傾いてるようにも見えた。
碓氷 澪
で、昨日ので涼が外れて1人。元から集団行動が好きじゃない吹樹も1人。
村上 渚於
そう。
碓氷 澪
涼が脱落メールを送るなら柚輝と瑠璃は無いような気がしたけど、昨日ので微妙になったからなぁ…
村上 渚於
蒼翔には送らなそうに見える。
碓氷 澪
それは分かる。
まぁ、送らないだろう。
スズにとって蒼翔は遠い親戚なのだから。
村上 渚於
涼は野坂町にいるらしい。
碓氷 澪
野坂?
村上 渚於
ああ、瑠璃が心配して探したら野坂町で相当拗ねてたって言うのを聞いた。
野坂なら先生がいるっていうのもあるか…
碓氷 澪
……まぁ、分かったよ。誰にするのかも決めた。
村上 渚於
誰に?
碓氷 澪
まだ秘密。でも、安心して。渚於には送らないから。
それだけを言うと、渚於は家から出て行った。


さてと…次はクラスの人達を一箇所に集めないといけないよね…


私は短い一文をクラスのグループトークに送ると、既読の数とかは気にせずに携帯を置いた。


『誰を殺すか決めたいから別に来なくてもいいけど来れるなら8時にいつもの公園に集まって』





















月明かりが差し込む公園。

涼を除いた全員が集まってくれていた。
霧夜 蒼翔
…決める前に聞きたいことがあるけどいいか?澪。
碓氷 澪
嫌って言ってもどうせ聞いてくるんだからそういう遠回しのやめてくれない?普通にうざいよ。
私の冷たい態度に蒼翔が息を呑む。
霧夜 蒼翔
今日のニュースで狭霧高校で不審死が相次いだってやってた。
碓氷 澪
だから?
霧夜 蒼翔
やっぱりお前、生き残りだろ。
碓氷 澪
黙秘。
周りの目も気にせず私は告げる。


別に嫌われようが構いやしない。

これが私なんだから。
碓氷 澪
前に言ったような気もするけど君の質問に答える義務がない。
草薙 琳
お前なぁ、何処まで強情なんだよ!終わらす方法を探す為に蒼翔がどれだけ苦労してると思ってんだよ!
霧夜 蒼翔
琳、やめろ。少なくとも今、権力を握ってんのは澪と涼だ。
草薙 琳
……。
碓氷 澪
よく分かってるじゃん。
前までの私の笑みをわざと浮かべてみる。

笑いながら私はそろそろこの馬鹿みたいなやり取りを終わらせようと思った。
碓氷 澪
さてと…本題に戻るよ。命令は適当にやるつもりけど死ぬ人は蒼翔に決めてもらおうと思う。
霧夜 蒼翔
は?
碓氷 澪
私以外の人から1人選んで。選んだ人に脱落メールを送る。あ、勿論自分のこと選んでもいいよ?
霧夜 蒼翔
俺が日にちが変わるまでに選ばなければどうする気だ?てか、そもそもどうして俺が選ばなきゃ…
碓氷 澪
君が選ばないのなら私が既に決めてる人に送るだけ。嫌なら降りていいよ、そのおかげで死ぬ人はいるけど。そして、君に殺ってもらう理由は普通に私が君を嫌いだから。
拔井 桜苗
ねぇ、澪…
碓氷 澪
何。
おそるおそる声をかけてきたのはさな。

目には怯えが見えている。
拔井 桜苗
どうしちゃったの…?前の澪はもっとみんなに優しくて、今みたいじゃ…
碓氷 澪
………前が違っただけ。何も私は変わっていないから。
拔井 桜苗
澪……
碓氷 澪
あ、良いこと思い付いた。
星野 空良
良いこと?
碓氷 澪
こんなことしてもどうせ蒼翔は選ばないから、命令。"霧夜蒼翔は碓氷澪以外の者を選べ。選んだ者に碓氷澪から自動で脱落メールを送るとする。"
11/06 20:15
To:GM
title:DEATH GAME
※これは桜華高校3年1組の生徒が対象です
※24時間以内に命令に従いなさい
※命令に背いた場合には罰を与えます
※途中棄権は認めません

命令:霧夜蒼翔は碓氷澪以外の者を選べ。選んだ者に碓氷澪から自動で脱落メールを送るとする。
火ノ神 瑠璃
あら〜…こりゃ澪ちゃん、ホンマにやりおったな…
どないするん?とメールを見た瑠璃が蒼翔に尋ねるが蒼翔はただただ青ざめるだけだった。
碓氷 澪
その友情とやらに頼れば?本当の友情があるなら君の為に死んでもいいって言ってくれる人、いるんじゃない?
草薙 琳
お前っ!!!
ついにキレた琳が私の胸ぐらを掴み上げる。

今すぐ殴りたいというのを必死に抑えている表情はもう笑えたもんじゃない。

私はただされるがまま、冷たい目で見続ける。
草薙 琳
マジでふざけんな!!蒼翔のこと殺す気かよ!?このゲーム終わらそうって頑張ってるんだぞ!?
碓氷 澪
はっ、終わらす?友情友情ばっか言ってる脳筋野郎には無理に決まってる。
草薙 琳
て、めぇ…っ!
碓氷 澪
……ほんと、うるさいんだよ。
胸ぐらを掴む琳の手首を掴むとそのまま捻りあげる。

小さな呻き声なんか気にせず私はもっと苦しませようと力を入れたところで背後から誰かに羽交い締めにされた。
加山 陽琉
落ち着けって!!
碓氷 澪
ちっ……私に触る、なっ!!
空いてる足で陽琉の脛を思いっきり蹴ると陽琉はその場にしゃがみ込み足を押さえる。

私は琳の前まで行くとさっきされたように琳の胸ぐらを掴んだ。
碓氷 澪
あのねぇ、こっちだってこんなクソゲーやりたくてやってんじゃないの。本来なら私はもうこんなとこにいないし、いたくない。
本当なら、DEATH GAMEが無ければ。

あの狭霧高校の2組で咲桜と、将暉と、蒼士と、そしてみんなと、楽しくやっていた。

全てが壊されて、バカが私を大切にしたせいで勝手に死んじゃって。

それで私は悲しんだ。

みんなが私の"友達"だったから。

友達がいるせいで悲しむならそんなのいらない。
碓氷 澪
友達がそんなに大切なら、あんたがそこの脳筋野郎の代わりに死ねば?
草薙 琳
……。
碓氷 澪
神崎舞さん、ゲームを終わらせたくて5回も勝ち抜いたんだって。つまり、5回も知り合いとか友達が死ぬのを見てきたってこと。それでも最後は自らを犠牲にしないと終わらせることは出来なかった。この意味、分かる?
草薙 琳
…………だから、何だよ…
碓氷 澪
終わらせる為には友達、そして自分自身が死ぬ覚悟がいるってこと。それが出来ない奴は死ぬだけ。
掴んでいた胸ぐらを離すと、琳はストンと膝を着く。

私はくだらない話に溜息を零した。
碓氷 澪
理解しようよ、終わる為には必ず犠牲が必要って。一つの目的を達成するには多大な犠牲がいるんだよ。
霧夜 蒼翔
確かにそうかもしれないけど…でも、俺には誰かを殺すなん ─────
ピリリリリ……
河野 春音
ねぇ、これ、どういうこと…?
結城 雛
ゆ、柚輝君!
碓氷 澪
……。
メールの着信音から周りが妙にうるさい。


何に騒いでんの……
11/06 20:24
To:GM
title:DEATH GAME
※これは桜華高校3年1組の生徒が対象です
※24時間以内に命令に従いなさい
※命令に背いた場合には罰を与えます
※途中棄権は認めません

命令:明神柚輝は日にちが変わるまで命令で死ぬ人を除き、クラスメイトに怪我を負わせないように守れ。
碓氷 澪
命令?まさか、涼が…
???
動くな。
若松 優悠
ひっ…
瀬戸 吹樹
………自衛隊?
そこにいたのは武装した自衛隊。

公園を包囲して、銃を私達に向けている。

そこで私はいつしか先生の言っていた言葉が脳裏を過ぎった。
確か、政府が殺しに来るって……
自衛隊員
政府からの命令により碓氷澪、霧夜蒼翔、明神柚輝、伊島涼は確保、その他は殺処分とさせてもらう。
火ノ神 瑠璃
うっわ、また隠蔽する気やんか。何回も何回もカッスいことを…
明神 柚輝
あいつ…拗ねた最後は俺らの居場所を政府に密告しやがったな……
霧夜 蒼翔
政府の命令?何で政府がこんなことするんだよ!!
その声に自衛隊員は冷たく言った。
自衛隊員
日本の為だ。
じわりじわりと寄ってくる軍隊に本気だと分かったみんなが公園の端へと後退する。


さて、この状況どうやって抜けようかな…

まさかこんなことを涼がするなんて…

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