第16話

最上階
エレベーターに乗ってる間もマシューに質問攻めだった。乗ってるエレベーターを箱と言うし人を運ぶ仕組みは何なのかと聞いてきた。

「これはな、エレベーターと言って太いワイヤーが動く事で人を運んでいるんだ。お前のいた世界にも合っただろう、昇降機が」
「うんあった! あれと同じようなもの?」
「そうだ。昇降機は剥き出しだったがこれはより安全を確保する為に箱型にしてあるんだよ」
「へぇ。リュウはなんでも知ってるんだね」
「そうかね。ほら、着くぞ」

食べ終わった後のクレープのゴミを預かり部屋に入ると、目の前にはバカでかいベランダへと続く窓が現れる。その向こうにはたくさんの家と海が見えた。俺も見慣れてはいるがやはりこの景色は絶景と言える。
「わあァァ………」

感嘆の声を漏らし窓に駆け寄るとうっとり景色を眺めるマシュー、暫く眺めた後に椅子に座る俺のところに走ってくると抱き着いてきた。

「どうしたんだ?」

服をギュッと握られている。高い所が怖かったのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。

「はは、子供のくせに感動してるのか」
「子供でも感動するよ……こんなに綺麗な景色見た事ない。それにリュウと一緒だからそれだけで幸せで……何だか嬉しくって…」
「ッ……そ、そうか」

俺は泪を流すマシューを抱き上げ膝に乗せると背中を軽く
5分ぐらいするとマシューもだいぶ落ち着いてきたらしく、鼻水を啜りながら俺の胸から顔を上げた。ティッシュで鼻をかませる。

「ありがと……それにしても本当に綺麗だね」
「だろう? 俺はこの景色が好きなんだ。それをお前にも見せてやりたいと思ってな」

そう言って頭を撫でてやると青い瞳を細めてにっこりと笑ってくれる。その度に胸が締まる気がした。ドキッやズキッというような擬音では表し難い胸の痛み、これは何だろうか…。

── グゥゥゥ…

「あっ……」
「はははは、そうだよな。朝から何も食ってないからな。クレープ食ったのにまだ腹減ってたのか」
「だ、だって!!」
「はいはい、怒ってねえから。ったく可愛いやつだなあお前は」

顔を赤くして俺の事を叩く振りをしてはそっぽを向く。マシューはまだ食べ盛りの子供と変わらない。

「何か食いに行こう、うまい飯がたくさんあるぞ。お前が見た事もない料理もあるだろうな」

そう言ってやると期待に満ちた目を向けられ、俺の手を仕切りに引いては早く行こうと連れ出そうとする。そんなマシューを微笑ましく思いながら俺達は部屋を出た。

マシューにうまい飯を、食わせるために…。