第11話

元幹部③
闇の中へ消えてしまった真宙を助けてやることすら出来なかった。何のためにここまで来たというのだ、あの子を助ける為に来たのに。

「あーはっははははは! ほら! さっさとくたばれよ! 死に損ない!」
「……死に損ない?」
「そうだろう!? 死に損ない以外に何があるというんだ? 俺はな、団長に可愛がられるお前が憎たらしかったんだよ!!」
「…………」

俺は握りこぶしを作る。そして開いたその手で自分の腹を貫通する剣を手で鷲掴んだ。
「誰が……死に損ないだと…」
「…え……」

俺は剣を掴むと握力を最大限にまで高めユティの剣を粉砕する。さらに高めた力で剣を統合する分子を全て元から断ち切り剣を抹消した。

「ひぇッ! ま、待ってくれ!」
「何か言い残しておく事はあるか、愚民ユティ…?」
「ゆ、許せッ! 許してくれッリュウ!」
「今更許しを乞うのか、もう遅いわッ!!」
「ぐああああぁぁ!!」

俺は自分の剣をユティの眉間に突き立てる。そして忍ばせていた短剣で心臓を一刺しする。

「ッぐは……ックク…俺を、殺したとて、あのガキは助からねえさ…ッがは」
「どういう意味だ」
「ッあ、の、下は……なぁ、剣山、だぜッ…」
「なんだとッ!?!?」
真宙が落ちたところを見ると床の開く扉は閉まっていた。

「おい! あの下へ行くにはどうッ──チッ、死んでやがる」

俺は胸元に開いた風穴を見つめ仏のポケットを探った。そこにあったポーションを見つけ飲み干す。傷跡はそのまま残るが風穴は塞がった。

「くそ。あの下が剣山だと、ふざけた事を…。真宙、どうか生きていてくれよ」

俺はただ祈ることしか出来なかった。今まで生きてきた中で何かに祈りと引き換えに助けを求めたことは無かった。あいつは俺に教えてくれたんだ、誰かといる事の楽しさというものを。
何かを教える事の楽しさを。
だから俺は、あいつを死なせる訳にはいかないんだ!

「真宙、今行くからな! 待ってろよ!」