第36話

突破口③
「……猫か…」
「ふみゅ…(ゴロゴロ」

 しっぽを垂らし申し訳なさそうな気持ちは伝わるものの言葉は全く伝わらない。俺は本をめくり動物の言葉が理解出来る術を探していた。一等区へ入り込むためには変身が必要だと言ったが、これでは……。

「いや……これはこれで使えるんじゃないのか…」

 俺はふと猫である真宙を見つめる。動物ならではの使い方があるはずだと、そう思いながら術を見つける。動物と話すのに難しい言葉は必要なさそうだった。

【ANIMAL WORDS understand】

「…真宙」
「リュウ…」
「おぉ、分かる。分かる、すげえなこれ」
「僕の言葉が分かるようになったの!?」
「術式とやらで…この、バカ!」
「うっ……」

 一喝した後で俺は存分に撫で回した。真宙猫はモフモフしている………可愛い…。

「それでだ真宙、その姿だがもしかしたら使えるかもしれん。人より動物の方が人間も警戒心はあまり持たんだろうと思う」
「……僕、リュウの役に立てる?」
「あぁ恐らく。だが無理は禁物、その術が解けてしまっては意味が無い」

 お腹なんかを撫でながら俺は計画を話す。真宙は途中俺の手からすり抜け毛繕いしながら大きく頷いて見せた。

「上手くやる、頑張るよ僕!」
「あぁ頼むぞ真宙」
 今回は真宙の術がどれほどで解けるのかを見るためもう少し潜伏することにした。下手に動き回ってバレるよりかはいいだろうと思う。

「でもどうやって? 動物が話せる事こそ怪しまれない?」
「そこは作戦を考えてある心配するな」

 俺は心配させないよう撫で回し寝かし付けた後で新聞を見た。そこに出ている記事を真宙に読ませる訳には行かないと思った。

【バラベルトの長男死亡、死因首吊り自殺による窒息死】

「(恐らく死んだのは次男の方だ、首吊りなんざ一体何があったんだか……)」

 バラベルト、実の息子を四等区へ追放し次男を長男と偽った上その息子までもを亡くす。今奴はどんな気持ちで居るのか、気が知れん。だからこそ真宙が近くにいると知れば、誘拐される可能性もある訳だ。次期当主にしようとするかもしれない、その事も頭に入れつつ行動する必要がある。
 殺されるか、使われるか、そのどちらかなのだ。絶対に……。

「むにゃ……んむふふ…」
「……呑気なお猫様だなコイツァ…ふっ…」

 小さな灰色の猫をお腹の上に乗せると俺もそのまま寝てしまった…。