第51話

最終決戦⑧
「まずいぞ…」


起き上がり俺の元へ近寄りながらダツが言う


「黒龍は術式の中で最も最強のものだ、火の龍なんかよりずっと上の方にいる龍だ」


「攻略法はあるのか」


「分からない。戦った事が無いんだ……」


手を差し出されその手に捕まり立ち上がる


白い煙を吐きながらそこに鎮座する黒龍


バラベルト自身はどうなったんだ


「見たか、虫けら共」


「その声!」


声は黒龍の中から聞こえてくる、バラベルトが黒龍に変化していると言うことになる


「さあ、パーティーの始まりだ」


黒龍が目をつけたのは真宙だった


俺は剣を持ち助けに行こうとする


だが黒龍を前に真宙は立ち塞がっていた


それは怪我した2人を守るように


「真宙!」


「ほぅ、この姿が怖くないのかチビ」


「怖いさ! でも、それよりもっと怖いのはこの戦いを投げ出して何人もの人が悲しい思いをしなくちゃいけなくなることだ!」


「はっはっははは! その小ささで他人を守れると思っているのか! 貴様らはそう、雑草と同じだぞ! 踏みつけられ虐げられる事しか出来ないような人間ばかりだ! 生きる価値などない!」


「何だと……ッ!」


斬り掛かろうとした時、ダツが手で制す


「何をする…ッ! 真宙が!」


「黙って聞いておけ」


真宙は黒龍を見つめて本をつきだす


「そうかもしれない。だけど! 何も無いまっさらな土地に花が咲くのは! 踏みつけられても強い根を這って生きる雑草がいるからだ! 雑草がない場所で花は咲かない! 雑草にだって! 生きる意味があるんだ!」


「何を訳の分からない事を!」


「確かにそうだ。雑草は強い繁殖力を持つ、そして立派に育った雑草を抜いた後の土地では作物が伸び伸びと豊かに育つそうだ。雑草はどんな過酷な場所であろうと生きていける、花よりずっと賢くて働き者で偉いんだ」


ダツがそう言いながら真宙の前に立つ


俺もその後に続いた


「俺達を雑草と言うならば、その根太さを見せてやる! 踏みつけられようと起き上がる雑草の底力、味わうがいい!」


その言葉で、ヤマト、ナデシコも立ち上がる


俺達は4人並び剣を構えた


「何が底力だ、雑草は雑草らしく引っこ抜かれて終わる! 貴様らも引っこ抜かれて終わるのだ!!!!」


「終わらせるかァァァ!!!」


俺達は再び剣を向ける


4人の、いや、5人の雑草の底力を見せ付けてやる!