第28話

2万人の人質⑤
まさか過ぎる真実に俺はどうすればいいのか悩んでいた。本物の悪党の正体は分かった、分かってどうする? 殺すのか? 真宙の実の親を?

「大丈夫か、あんた」
「あ、……ああ。大丈夫だ」
「整理するのに時間は必要だろうよ、アンタは脅されてなかったらしいが今脅しに合ってるようなもんだ」
「どういう、意味だ…」
「それは今に分かる。俺が脅されて居るようにアンタも弱みを持っちまってる、可愛いんだろう? 真宙の事が…。早く戻ってやんな、大切な我が子が殺されちまわないように…」
「あ、おい!」
「……私はホテルへ戻り爆弾の解除を行います。貴方はお子様とのお時間を大切になさって下さい。奪われた時間は二度と戻りませんよ」

そう言い残し男は車に戻るとそのままホテルへと戻って行く。

「一体、何から話せばいいんだ……」

俺は軽い目眩を起こしながらも真宙が待つ処置室へと足を向けるのだった。
「…ッパパ!」
「真宙…」

処置室に戻ると少し震える真宙がいた。当然だ。俺は爆破予告犯と一緒に居た、長らく戻らない事に不安を覚えるのは当たり前の事だ。

「大丈夫だ、俺は無事だ」
「よかった…」

涙を流す真宙、何から話せばいいんだ──

爆破予告犯が脅されていた事
遊園地の予告犯と同一人物だった事
その命令を下していたのが…真宙の父である事

分からない。今は混乱しているようだ。

「パパ?」
「お父様も顔色があまりよくありませんね?」
「俺は平気だ」

俺は病院に礼を述べて外へと出た。
外には青い空が広がっている、眩しいくらいの太陽もある。

「リュウ、何があったの?」
「………」

俺は何も言えなかった。ただ一言…。

「ホテルに帰ろう」

それを言うのが精一杯だった…。