第29話

真実
病院に行って僕と離れてた間に何があったのか気になる。何を話されたのか、何を知ったのか。でもリュウは話そうとしてくれない。と言うよりも、混乱してるみたいだった。頭を抱えて俯く日々が続いている。

ホテルの爆破予告犯は自殺したとテレビで報道されていた。その男はやはり遊園地で僕を人質に取ったあの男だった。
どうして自殺してしまったんだろう……。今の僕には分からない事だらけだ、でもリュウを困らせる訳にはいかないと思ったんだ。

「……ッはぁ…」
「リュウ……」

僕の言葉も届かない程に窓の外を眺めている。
一日中ずっとだ…。
窓際の椅子に座ってずっと……。僕は近付くことも話しかける事も出来ずに、何も出来ないままで……。

でも泣けない。何かあったのは確かなんだ。それを僕が分かってあげられたらいいのに。以心伝心の技でも使えたら……。

「………」
(リュウ…僕の気持ち届いて…何があったのか話して欲しいよ、僕ちゃんと受け止めるよ…)
── ガタンッ!
「………ッ!」

いきなり立ち上がったリュウに僕は驚いた。もしかして僕の気持ちが…!

「悪い。お前をずっと不安にさせたままだったな。泣かせるとは情けない」
「えっ……」

気が付くと僕は泣いていた。
気付いてしまえば僕は声を出して泣いていたんだ。ずっと話せない不満と何を考えてるのか不安で、僕は頼って貰えない苦しみに押しつぶされそうで……。

「真宙、一人にして悪かったな…話す勇気が持てないんだ…」
「ッ……ぼ、くが、こども、だか、ら?」
「違う…俺が受け止めるのに時間が掛かったからだ。お前にとっても最悪の真実になる…他人の俺がこうなったのにお前に話したらどうなるかと思って……」
リュウは、何を知ってしまったんだろう。
僕は涙を拭いてリュウに抱き着いた。

「僕、どんな事実も受け止めるから! リュウが居るから…だから、話してよ。ずっと僕だけ何も知らずにリュウだけ苦しむのを見ていたくないよ、僕!」

そう懇願すると僕を抱き上げ、窓際の椅子に座り僕を膝に乗せた。そして胸に抱き締めながらリュウは僕の手を握った。

「今から話すのは全て真実だ、嘘はない」
「……ん、分かったよ」

リュウの心臓が速い、話す事に緊張を覚えているみたいだった。
「まず1つ目、あの男が自殺したのは知ってるな? あいつは遊園地の予告犯と同一人物だ。それはお前も気付いているだろう」
「うん。声とか全部覚えてる」
「あの男は一度捕まっている。そしてそれを助けたのは、斬切竜団だ」
「リュウがいた、組織だね」
「ああ……。そして、その組織の…親分が…」

そこまで言いかけてリュウの手が震えていた。僕は途端に不安になる、でも僕が挫けちゃいけないそう思ってリュウの頬にキスをした。

「なっ…」
「僕は大丈夫だから。恐がらなくていいよ」
「……お前って奴は…」

そして息を整えてからリュウは口を開く。

「斬切竜団は、ドラゴンサバイバーとも呼ばれている組織だそうだ。それはとある地区で言われている」
「……えっ…ッ?」

ドラゴンサバイバー?
それは確か…一等区の、警察組織…。

「ドラゴンサバイバーは一等区の警察組織、斬切竜団と同等の組織だ。いや全く同じだ。そしてそれを統率している人間、それが…お前の父親の…」
「……ッ」
「バラベルト団長だ、真宙、お前の父親が今回の事件を全て企てた。目的はただ1つ、真宙、お前を殺すためだそうだ」
「ッ!!!」

僕はそれを受け止めるだけの、器がなかった。震えが止まらない、恐怖が溢れ出す。

「リュウ……ぼ、ッぼくを…」
「お前の父親は俺達の敵だ。だから最悪の場合父親と戦うことになるかもしれない、だが約束するッ! 絶対にお前を死なせない!」
「リュウ……ッ!」

僕は思い切り彼に抱き着いた。もう僕を守れるのはリュウしか居ないとそう思ったんだ。もし斬切竜団とドラゴンサバイバーが同じ組織だと言うならいずれは…弟の聖がッ!

「真宙、今は何も考えなくていい。何も考えるな。混乱するだけだ」
「…うん……ッ」

僕はリュウの胸の中で震えが治まるのを待ち続けた。