第25話

2万人の人質②
「リュウ、これから、どうするの?」

俺は頭を抱えた。必死に考えた。
こんな時親父ならどうしただろうか。親父は多くの人間に撃たれて死んだ。
何故俺は助かったんだ…どうやって助かった?

── ピンポーン
「お客様、大切な事をお忘れでしたので今一度ご対応お願いできますか?」

「……(頷く」
「今度は何ですか、手短にお願いします」

「………」
(493049 493049 627243 493049 送信…)

「念の為携帯をお預かりしてましてね、出していただいてもよろしいでしょうか」
「……分かりました、ちょっとお待ち下さい」

「……!」
(削除!)
「マシュー、携帯預かるんだと。貸してくれるか」
「分かったよ、はい」

俺は言われた通り携帯を男に渡す。間違いない、この男はあの時遊園地にいた男だ。

「ほら、携帯だ」
「ご協力ありがとうございます」

部屋の扉が閉まり、俺は真宙のところに戻る。

「さっき、何かしてたか」
「……ごめん、リュウの携帯見たんだけど、番号で助けを…求めたんだ。いつでも駆けつけてやるぞってメールがあったから」
「……それに、返信したのか」
「もっもちろんバレないように消したよ!?」

俺はただ俯く事しか出来なかった。

「……ッごめんなさい、勝手なことして。でも親父ってあったから、もしかしたら──」
「親父はもう死んだんだ。この世に居ないんだよ真宙」
「……ッえ」

俺は自分の生い立ちを話した。家が悪党を専門に殺す殺人を生業としていた事、俺も親父の跡を継いで殺人を犯した事や出所後の事も全て…包み隠さずに話した。

「リュウ……」
「お前に家庭教師として付いたあの日も家を物色するつもりだった。それっぽい教材を用意した、だがお前を見てると哀れで可哀想で助けになってやりたいと本気で思ったんだ。だから俺は、殺人集団を抜けたんだ真宙、お前のおかげなんだ」
「僕の……?」
「お前が俺に新たな生きる希望をくれた、だから俺は…お前を絶対に殺させない。死なせる訳にも行かない、例え俺が死んでもお前だけは」
「そんなの嫌だよッ!」

真宙は俺に抱き着き肩を震わせ泣きじゃくった。

「僕はリュウが居ないと生きていけないんだ! 大好きなんだ! リュウの為に戦い方も守り方も身に付けたのに! リュウが死んだら僕は誰を頼って生きればいいんだよ!」
「…真宙」
「死ぬなんて簡単に言わないでよ! リュウが死んだら僕はまた、ひとりぼっちなんだ!!」
「……ッすまん真宙」

俺を叩きながら泣き喚く真宙、そうだ。こいつは親から愛されてなかった。それを助けたのは他でもないこの俺だ、死んでもいいなんて無責任な発言をするべきじゃなかった。

「すまん、俺が間違っていた。真宙、戦おう。あの遊園地の時みたいに、俺と一緒に」
「…うんッ、戦う! 僕も…リュウと戦うから」

真宙の涙を指で拭ってやり、髪にキスを落とす。

「わッ…リュウ?」
「真宙、俺はお前を愛している。だからこそ、死なせる訳にも殺させる訳にもいかない。俺も死なない」
「僕もリュウの事愛してる、大好きだよ。僕も死なない、殺されない、リュウを守りたい…」

俺達はしっかりと頷き合い、手を握り合う。お互いの手は汗でびしょ濡れだった。そんな事気にする間もない、ホテルが爆破されるまで2時間、その発言が虚偽か真実か…確かめるんだ。あの時と状況は違う、それでもやれるはずだ。俺は……《殺人鬼》……なんだからな。