第22話

稽古①
翌朝、と言ってもお昼すぎだけど。
結局朝方まで僕達は寝られずにお互いくっついたまま暫くぼーっとしていた。
それからどちらともなく眠りについてから、目覚めたのが今というわけ。

「今日から稽古を付けるんだったな、ふわぁ~」
「リュウ眠そうだね」
「ああ、夢見が悪かったせいで寝れてねえ。まあいいさ」
確かに昨日は2人とも不安の中にいた。僕はリュウが死ぬ夢を、リュウは昔の夢を見てしまったと教えてくれた。
詳しくは教えてくれなかったからあまり思い出したくないことなんだと思い、それ以上は聞かなかった。

「それじゃ、始めるか」
「はい! 先生! お願いします!」
「ははは、先生か。久々に聞いたなその呼び方」
「そう言えばそうだね」

お互い笑った後で、僕はリュウに護身術を習った。

「いいか。後ろから肩を掴まれた場合の護身術だ。肩を掴まれたら掴まれた方の腕を真上に真っ直ぐ突き上げる、そのまま腕を後ろへ回す。そのまま手刀を作って小指の方から下へ振り下ろす、強くだ。やってみろ」

僕はリュウがホテルの人に用意させたマネキン相手に護身術を身につける。

「ダメだ、もっと腕を上げて。ここまで」
「はい!」

背が低い僕は高い身長だと届かない場合があるからと腕を鳩尾に入れるやり方から手刀を作って小指の方から下へ振り下ろす方法も学んだ。

「よしよし、では次を教えるぞ」
「はい!」
「次は攻撃されそうになった時の護身術だ、攻撃される時素手ならまず最初に多くの場合は腕が伸びてくる。その手を相手の腕の肘から親指2本分横、大体この辺り、そこを掴み思いっきり力を入れて押し込む、相手の体勢が崩れたら離れるんだ」
「離れちゃうの?」
「あくまで身を守るものだからな、本格的な戦いとなると身を守れてからでないとダメだ」

僕は頷きつつ、再びマネキン相手に護身術を繰り出した。

「なかなか筋がいいじゃないか。次の護身術だ」
「はい!」
「次は攻撃に入る、これは反撃される事も十分あるから気を付けるように。攻撃したからと言って気を抜くとすぐに殺られるぞ」
「分かったよリュウ」
「まずは顔の前で手のひらを開いた状態で顔の前に構え相手の動向を探るんだ、近付いてくるようならその手で顔面を殴る、その時指を曲げて目を引っ掻く、そのすぐ後に鳩尾、または顎の下を思いっきり殴る、分かったか」
「うん!」

僕はマネキンに攻撃をした後、リュウを見ると叩く場所や殴る場所の指摘を受けた。その三つを僕は徹底的に体に頭に叩き込む。リュウを守るため、役に立つ為に!

「なかなか上達したんじゃないか?」
「はぁっ、はぁ…ほん、と? よかった」
「ああ。だが実際に起こったときそれが素早く出せなければ意味が無い、明日は今日教えた事を出来るか実践してもらう」
それは、ホテルの人が明日から僕に何らかの仕掛けをしてくるらしい。それを上手く交わせるか、ちゃんと身を守れるか試すものだそうだ。
僕はしっかりと頷いた。

大丈夫、ちゃんとやれる。
リュウの役に立つ為に、頑張ろう!