第9話

元幹部①
「来やがったな……リュウ」

その名前に視線を戻すと、鎖に繋がれ膝をつく僕の前に《彼》は居た。いや来てくれた。

「……リュウ!」
「すまない、遅くなってしまった」
「僕は大丈夫だよ! どこも怪我してない!」
僕は彼が来てくれた事が嬉しかった。《リュウがいつまでもお前と暮らすわけはない》その言葉が嘘だと思わせてくれる程に……。

「久しぶりですね…こんな形で再会したくありませんでしたよ、デッド様」
「グァハハハハハ! そうか、俺はお前にまた会えて嬉しいぞ。俺のために獲物を取ってきたんだろう? さあ寄越せリュウ、また一緒に笑って暮らそうじゃないか!」
「……ッ、リュウが……こいつの?」

僕はデッドと呼ばれた男とリュウを交互に見た。こんな奴の仲間だったというの? 何故……いや、でもリュウは殺人鬼だったんだ。それにこいつの腕にも似たような絵がある。

「リュウ! リュウこいつら僕を三等区の人間に売り渡すって言ってた!」
「何…ッ。させるか、そんな事!」
「おいどうした、らしくない。昔は一等区のガキを捕まえて売り飛ばしてただろう? それにお前は……特別な力を持ってるじゃないか。それをまた俺の為に使おうと思わんのか?」

特別な力? 特別な力って何だろう。
そう考えてふと周りを見るといつの間にか僕達は囲まれていた。剣を持った大人達が怪しい笑いと共に僕らを見ている。

「リュウ…」
「大丈夫だ。お言葉ですがデッド様、俺はもう…斬切竜団ざんせつりゅうだんの一員ではない。よって戻る事はありません」
「ははは。残念だ、非常に残念だ……殺れ!」

『うおおおおおお!!!』

デッドの掛け声で僕らに迫り来る部下達、僕は死を覚悟し目を閉じた。

その時だ。

「陰、陽、沙、離、…必殺…斬刀斬ざんとうぎり!」

リュウの刀が宙を切る、その空気が刃となり僕の髪を少し切って行った。風だった。だけど次の瞬間には…その場にいた全員が、お腹や頭胸から血を噴射させて、倒れた。
それは、地獄絵図とも言えるものだった。

「(リュウは……リュウは本当に殺人鬼なんだ……)」