第12話

ここは、どこだろう……?
真っ暗で何も見えない。冷たい、床の上かな。

"可哀想に。お前はまだ小さいのにここへ来てしまったのですか?"

「だれ……?」

そう聞くと闇の中にぼうっと灯りが光る。いや違う、光じゃない…人の姿をしている。
「あなたは、だれ?」

"私はこの世界を統率する者、所謂神という域で貴方達を見守る者です"

「神様…ッ」

僕は神様という存在にいい思いなんて持ってなかった。神様は僕を助けくれなかったんだ。僕ではなく聖を選んだんだ。

"お前が私を憎むのも分かります。だがあのままお前をあの家に置いておくわけには行かなかったのです、だからあの家を出る《理由》が必要でした。許せとは言いません"

「神様、貴方は僕が嫌いですか?」

"まさか。私に嫌いな人など居ませんよ。私は平等に全ての生き物を愛します。私に祈りを捧げる者が居るならば私はその声に答えます"

女の人の優しい声、それを聞いてると何だか少し落ち着いて来る。神様を信じないという僕の気持ちにも怒らない神様は《人間》が出来てる。

"真宙。お前は今私と話している事に危機感を持たねばならない"

「え、どうしてですか?」

"お前は……身に覚えがないですか?"

確かリュウにユティって人が襲いかかってリュウを助ける為に僕は自ら手を離して落ちた…。

"お前が落ちたのは剣山の上、死んでいるのです。いえ正確には生死を彷徨っている状態にあります。数時間もすれば死に至るでしょう"
そんな事、リュウと暮らせなくなる? せっかく僕の気持ちを理解してくれる人が現れたのに?

"安心なさい。お前に関する祈りの声を聞いています。リュウという人間が真宙の無事を強く強く願ってくれています。だからお前を助ける為に真宙の前に現れたのです"

「そうだったんですね。神様、リュウは無事なんですか?」

"ええ。生きていますよ、傷も塞がって今は真宙お前の事を探しているようです"

「……ッ良かった…良かった」

僕の目からは泪が零れていた。リュウが無事ならそれでいい。例え僕が死んでいたとしても。

"真宙。一つ聞いてもいいですか?"

「なんですか神様」

"お前、リュウが怖くないのですか? 彼は斬切竜団の元幹部であり過去に多くの殺人を行っています。お前の様な子供が標的でした。それでもお前は真宙は、リュウの傍に居られますか"

僕は神様がどうしてそんな事を聞くのか理解できなかった。リュウの傍に居られますか? なんて。僕が決めた事なのに…。

「神様。過去は関係ないよ。リュウがリュウである限り僕は彼の傍にずっと居るつもりです。何があっても…例え、死んでいても彼を見守る立場にありたい」

"…その答えが聞けて私は満足です。お前を人間の世に戻しましょう。戻れば傷口の痛みがお前を襲うでしょう。ですが大丈夫、もうお前はリュウに助けられている…帰ってあげなさい真宙"

「はい。……神様! ありがとうございます!」

僕がそう言うと暖かな光は消えた。そして真っ暗な世界から明かりの灯る世界へと痛みと共に僕は戻ってきた…。