第31話

拷問
「何か他に言い残す事はあるか?」
「…………」
「黙る事しか出来んのか豚め。殺ってしまえ」
「ッッッ!!!!!!」

椅子に座らせ両手足を広げた状態で指の一つ一つを切断していく。目を剥き出しながら痛みに耐える様は何とも滑稽で醜い。
指のなくなった手をミンチを作る機械に入れ、スイッチを押せばまたもや声にならん声を上げては私を睨む。血が溢れる。
反対の手は爪と肉の間に針を刺していく。別の男は唇を針と糸で縫い、また別の者は瞼と眼球を針で突き刺す。もはや拷問を受けている男に意識はない。このまま戻らんだろう。

「プレスしろ」
「かしこまりました」

男を解放すると熱された鉄の上に放り投げる。その上に重さ5トンの重りを落とすのだ。骨の碎ける音と肉が潰れる音が聞こえ正に至福のASMR(自律感覚絶頂反応)だ。
重りが上がった後の無様な姿と言ったらこれ程醜い姿はこの世に他に存在しないだろう。
全てが潰れぐちゃぐちゃな世界、これぞ正さしく人間が最も無様に死に晒せる姿の最高峰なのだと私は思っている。
「何とも無様で何と美しい事か…だが人間性が美しくない。廃棄しろ」
「はいッ……」

私はこの手で全てを壊してきた。そして全てを取り纏め信頼を得てきたのだ。誰もこんな地下室で無様な儀式が行われているとは思いもしないだろう。だが残念なのは、この世界に慣らすために連れて来た我が息子の聖が情けない程に臆病者だと言う事だけだ。
私の立派な仕事姿に恐れ入り感服するかと思ったが、先程泡を吹いて気絶した。本当に情けない。それでは我が騎士軍、ドラゴンサバイバーを継ぐなど不可能だ。
人間はどこまでも冷酷でなければならない。つまらん感情など捨ててしまえばいい。哀れみや同情、悲しさ恐怖その全てを無くせばいい。幸福感と優越感さえあれば生きていける。人の上に立つ強き者、弱き者はただ跪き怯えるだけの暮らしを強いる。それこそが私に誰も仇なすことなど不可能な、完璧なる私の世界だ。

「父上は間違っております」
「なんだ。口答えするのか、そんな風に育てた覚えはないがな」
「…ッ……」

私は息子の髪を鷲掴み懇親の力で引っこ抜く。抜かれた髪の束とそこから流れる血、息子は再び痛みと恐怖でその場に倒れる。

「本当に情けない奴だ、もっと教育せねばならん。もっと私の跡取りに相応しい人間になれるように。聖、覚悟しておくのだなぁ…ククク…」
「バラベルト様、先の男の始末終わりました。世間には何とご報告を…」
「ん、自殺としておけ」
「かしこまりました」

役に立てぬ人間は殺す、弱い物も殺す、いずれその選択は聖に託すものだ。真宙を殺せなかった、あのガキを殺さなければならない。この私が自ら出向いた方が確実なのか?
奴は2回も失敗し私に殺されたのだから。他の者に頼むと失敗するのか? 何故? 最初の誘拐でもあのガキは助かっている。
本当に目障りな奴だ……マヒロ!

お前を必ず殺してやる。
覚悟しておけ…