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第1話

【第一章】地区と地位
【四等区】
最も貧困な市民が国からの援助を受けながら生活している地区。借り物の家、借り物の土地を与えられる。国から貰った資金は彼らの衣食住となるが、借りた分を毎月返済する義務がある。そのため政府や他の地区民に逆らえば処刑される、老若男女問わない。唯一除外されるのは言葉を持たない動物と生後半年以下の赤子。
【三等区】
国からの資金援助を僅かに貰いながら自力で稼げる力を持った者達の地区。四等区と扱いはほぼ変わらないが、四等区と三等区で非があった場合三等区が優先される。三地区以外に出る事が許されており、昇進すれば二等区や一等区に移住が出来る。然し三等区出身である為、社会的な立場としてはほぼ奴隷扱い、逆らうと有無を言わさず【四等区】へ流されるか処刑される。
【二等区】
四等区や三等区と比べると段違いな格式となる。政治関係の仕事や会社を立ち上げ事業を開拓する者が多い。三等区と四等区への資金援助をしている。援助資金は国のお金ではなく自分たちのお金であり、給料も懐に入るのは一等区の者達が分配した残りである。そのため会社を作っても上手くいかなければ倒産する事も。四等区への資金援助は実は一等区の政治家、その統率者が決めた法律であり二等区はそれに逆らえない。返済する為の徴収で何割か多く貰う輩も居るらしい…。
【一等区】
この国を纏めあげる統率者の住む、絶対的な力と権利と強さと賢さを持つ者のみが住める場所。四等区の者達からすれば雲の上の存在となる。全地区の会社を取り締まり、政治において法律などを決めている。この地区に生まれた子供達は将来が安定し行く末の不安も知らぬ子ばかりだが、稀に『落ちこぼれ』が居る。社会的風潮と国のイメージを壊さない為に社会的に抹消される事がある。その事実が公になる事は無い。
【四等区】【三等区】【二等区】【一等区】

四つに分けられた全地区がこの世界の全てであり、この地区外の事を一等区の人間はこう呼ぶ。


『生きる価値のない人間 く ず 』と。
地区外がどうなっているのか、それを知る人は居ない。なぜなら…地区外へ流された者がこの地区に入る事など不可能だからだ。

社会的に抹消された人間は、高知能システムが導入された正門を潜るとAIがそれを異物であると認定し殺される。そしてこの地区に入る為の正門はひとつしかなく、それ以外の場所には高電圧線を入れた高さ70mの壁が外の世界とこの場所を隔てているのだ。

そう、この四区は絶対的な壁に守られた安全で安心な生活が送れる場所なのだ。

反対に外の世界からの助けはない為、四等区の者達は奴隷扱いを受け続けそれは死ぬまで永遠と続く。

安全で安心な四区、とあるものの
それが果たして本当に安心な場所だと言えるのか、それは定かではない…。