無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第34話

突破口
 リュウと共に僕の父親、バラベルトの企みを暴くべく…僕達はある場所へと向かう事にした。そこは彼についての情報が得られる場所、【一等区】だった。
 危険な行為ではあるけど、それ以外に有力な情報を得られる場所はないとリュウが判断した。

「いいか、真宙。一等区にはバラベルトの手下が潜んでる可能性もある。くれぐれも気を付けるんだぞ、迂闊に俺から離れてはならん」
「分かったよリュウ…」

 僕達は顔を見合せ頷きあってから宿泊するホテルを出た。
 AIが管理する場所へとやってくる。リュウは僕に顔を下げるよう指示して手を引かれそのまま突破する。そして門番兵もすり抜けて何なく四等区へ侵入する。
 一時避難だと山中の小さな山小屋へ移動した。

「ここまでは計算通りだ、この先が俺も未知の領域となる。三等区、二等区を通り抜けて一等区へ行く。前はツテがあったが今回はない…」
「ツテって…僕の家庭教師の事だね」
「そうだ。どう切り抜けるか…バラベルトの名前を出してもいいが、それだと危険な事へ身を投げることになりそうな予感がするんだよな」

 そう言いながらリュウは腕を組み考え出す。三等区と二等区を切り抜ける方法か……。

「……やはり、あの手を使って通り抜けるか。幸い等区間でAIは使われていないからな」
「……あの手?」

 僕がそう聞き返すとリュウは眼帯をしたままの目を押さえて僕を見つめる。

「俺の目は人を操る力がある目だ。一度その目を見れば誰もが俺に従う、そして術が切れる時には操られた記憶さえない。前後の記憶も全て消える、俺はこの目を使ってずっと出入りしていたんだ」
「…操る目…。聞いた事あるよ…」

 操る目、それは一部の人間に稀に起こる奇跡なんだと父さんが言っていた。その目を持つ者は神から愛されているとも……。
「この目を無闇に人に使いたくはない、ましてやお前にも。拍子で掛かることもあるからな。だから俺はずっと眼帯をしている」
「AIを通り抜けられるのはどうして?」
「……AIには必ずプログラムが存在する、人を認知する物が、それをこの目を通して操りプログラム自体を書き換えているんだ。だから誰も俺たちの潜入に気付かない。だがこの目の事がバレれば、俺は只では済まないだろうな?」

 確かに、と思う。父さんは、バラベルトはその目の事をあまりよく思っていなかった。神から愛されていると言うのはその人自身にだけであって周りからすれば悪魔の目だと言っていた。悪魔からの譲り物、禍々しいと憤怒していた気がする。
「さて、この目を使い通り抜けたあと道行く人に俺たちの事がバレては意味が無い。顔を隠せば怪しまれるのは必然だ、どうすべきか…」

 リュウはまた難しい顔になった。僕も考え込んでいると何も無い本棚にたった1冊、本が置かれているのに気付く。立ち上がり本を手に取る。

「リュウ、この本何? タイトル無いけど…」
「…さあ。この小屋を使っていた前の住人の忘れ物じゃないのか?」
「それにしてはホコリ被ってるよ…何か書いてある」

 本の後ろに小さく文字が書いてある。ホコリを払い僕はそれを読む。

【本を見つけたそなたへ、この術式を使いこなせたならば己の道はさらに開くだろう】

「どういう事だ。術式? 聞いたことがないな」
「開けてみる?」
「……気をつけろよ」

 僕は本を開いた。いくつものページ、その中に花の栞が挟まった箇所がある。そこに書かれてある術式に、僕は思わず、これだ! と叫んでいた。