第14話

【第二章】塀の外へ
「荷造りは出来たかマシュー」
「うん、殆どないから大丈夫」

僕達は人が眠り起き出す前に塀を超えるため荷造りをしていた。少しの食料だけと2着ほどの服を持って、準備を整えた。
「それじゃ行くぞ」
「うん…」

四等区で過ごしたのは四日ぐらいだった気がする。一晩はあいつらのアジトで過ごしたようなもんだし……。
それにリュウはきっとこういう事には手馴れてるんだと思った。だからこそ置いてある荷物が少ないんだろう。
僕達は塀へと向かった。

正門の前には塀を守る騎士、門番兵がいる。彼らは一等区から派遣されたかなり腕の立つ人達だと聞いたことがある。

「マシュー、顔を隠せ」
「分かったよリュウ」

僕は言われた通りフードで顔を隠す。門に近寄ると、ガシャンと音がする。片目だけ覗かせると2人の門番兵が剣をクロスさせ道を塞いでいるのが見えた。

「何処へ行く」
「塀の外へ出るのは禁じられている」
「……そんな事言わずに出してくれないか」

話し合いで出るつもりなのかな。
簡単に折れてくれなさそうだけど、そう思いながらただ俯いて話し合いが終わるのを待った。

「出してくれないのか? 頼むよ、門番兵共…」

無理だよ、そう思っていたのに──

「……分かった、外出を許可する」
「ご武運を祈る」
「……えッ!」
「行くぞマシュー」

あっさり折れるなんて、僕は訳が分からないままだった。手を引かれ門が開かれる。大きな鉄の扉が開き、扉の向こう側へ飛び出す。

── バタンッ!

門が閉じる。そのまま上を見上げて僕は驚くことしか出来なかった。
高いコンクリート塀がそこにあり、空だけが繋がり完全に外と隔絶されていた。

「これって……」
「これがあの世界の実態だ。中に住む人間達を隔離する事でその平穏と秩序を保っている。だからこそ部外者は忌み嫌われ阻害される」

それはまるで監獄か隔離病棟を思わせた。外の人間が病原菌だとするならその人たちを中に入れない事で自分達を守っている。

「僕達はずっと監獄に居たんだね」
「監獄か、そうだな。何が起ころうとこの世界のルールに逆らえない、そう考えれば監獄という表現の方が合っている気がするな」

しばらく塀を眺めた後に僕達はさらに続く塀を出るため歩き出す。AIが管理する場所に…。すると突然…リュウは僕を抱き上げる。

「静かにしていろ、息を止めろ」
「わ、分かった」

息を止めたその僅か数秒、AIの前を難なく通り過ぎていた。

「え、どうやって」
「その説明はあとだ。今日休める場所を探すぞ」
「う、うん!」

手を引かれ大きな通りを出ると、鉄の塊なのだろうか。色んな色をした乗り物が猛スピードで走る道へと出た。色が変わり音楽が流れる機械もある。そこは、まるで、未来のような世界だった。