第54話

最終話
 僕は目を開けた。そこはどこか懐かしい場所だった。小屋みたいな……ところだ。

「真宙、目が覚めたか」
「真宙君」
「真宙」
「マヒロ」

 誰だろう、この人たち……だけどすごく懐かしい気持ちになる。前にどこかで会ったことあるかな。特に……体の大きな、男の人……。

「俺達が、分かるか?」
「…………」

 彼らは僕を知っているみたいだった。雰囲気で分かる、悪い人じゃない。みんなボロボロでさっきまで誰かと戦ってたみたいだ。

「ごめんなさい……」

 そう言うと体の大きな男の人が僕を思い切り抱きしめてくる。この温かさ知ってる気がする。だけどどこで? 僕はこの温もりをどこで…。
「ありがとう真宙…俺の、大切な友達…」

 こんな大きな友達が僕に居たんだ。それはちょっと驚きかも…。他の人たちも短剣と、日本刀と銃を持っていた。体の大きなその人は剣を持っていない。

「あの、ごめんなさい…僕には何が何だか分からなくて…何かあったんですか?」

 彼らは顔を見合わせて頷きあった。そして僕に手を差し出してくる。
ヤマト「初めまして真宙君! 僕はキャットナイトのリーダー、ヤマトだよ」
ナデシコ「僕も初めましてだね、僕もキャットナイトに所属する副リーダーナデシコ」
ダツ「俺はキャットナイトの騎士長ダツだ」

「……俺は……、リュウだ。よろしく真宙」

 最後にリュウと名乗ったその人は僕を見て泣き笑いしていた。それを見ると酷く胸が痛む。

 僕はもしかして、何かを忘れているの?

「さあ! 宴の準備をしようか!」

 ヤマトがそう言う。そして3人は部屋から出ていった。僕と、リュウという人だけが取り残される。

「……あの、僕…」
「何も言わなくていい…もう全て終わった事だ。お前が無事なら…俺はそれでいい……ッ」

 どうして泣くの?
 僕の胸が激しく痛む、これは何…。貴方が泣くと僕の胸がズキズキしてくるよ…。

「真宙、大丈夫か?」
「貴方は…誰なんですか…。何もない人にこんな風な気持ちにはならない…貴方は誰?」

 僕はまたこの人に抱き締められていた。知ってるんだ、この温もりも全部……。僕は知ってる。彼は僕から離れると髪にキスをした。

 知ってる。知ってる……僕はこの人を知っているはずなんだ…どうして、分からないの?

「無理に思い出そうとしなくてもいいさ…」
「無理に……? やっぱり僕は何かを忘れているんですね! そうなんですね!」
「あっ、いや……」
「教えてください……僕が忘れていること、僕は貴方を知っているはずなんだ」

 そう言うと彼は全て話してくれた。それはとても長い長いお話だった。
 僕と出会ってから、今までのこと……。

 日が昇るまでずっと話は続いた。

 ああ、知ってる。知ってるよ、貴方のこと。僕は貴方のことが大好きで、守りたくて、ずっとずっとこの先も一緒に居たいと望んでて…。
涙がこぼれる。僕は貴方を知っているはずなんだ……。

「ま、真宙? 思い出したのか?」

 僕は首を振る。僕が泣いているのは思い出せたからじゃない、貴方を知っているはずなのに思い出せない事が悔しいんだ。

「大丈夫だ。もう全て終わった…何もかも…だからまた俺を知っていけばいい。俺の事をまた近くで見ていてくれればいい…それだけの事だ」
「……ッうん」

 知っているはずなのに、思い出せない悔しさ、もどかしさ…。きっと必ず思い出すから。貴方と歩んだ軌跡を必ず……。


「おーい、宴の用意出来たぞー」
「今行く」

 話が終わる頃、黒猫が僕達を呼びに来た。僕は貴方に抱かれて宴の広場へと向かう。この場所も知っている……。ここは……。

「四等区、リュウの家……(ボソッ」

                【完★結】