第7話

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2020/06/30 10:07
お母さん
あなた。私、今日も出掛けてくるから、留守番よろしくね
母は私に優しく笑って、(本当は笑っていなのだろうが、当時の私はそう思っていた。)出て行った。
佐倉あなた
気を付けてね、お母さん
お母さんは、お父さんが仕事に行っている間に何故か居なくなっている事が多々あった。


きっと、今考えたら、男漁りなんだろうけど。


私は、ずっとショッピングに行っているのかとか、共働きなんだろうな、とか考えてた。
佐倉あなた
独りって、寂しいなぁ
とは思っていたけど、両親の前では口に出さなかった。


そんな日々が続いて、ある日の事。
隣の部屋から、両親の怒声が聞こえてきた。
お父さん
 お前っ、俺を裏切ったのか!?
お母さん
何でそうなるの!?
お父さん
 だって、さっき電話出たらお前の不倫相手って奴からだったんだぞ!!
お母さん
 そ、そんな相手、私にはいないわ!
その時、私はようやく悟ったんだ。
お母さんは『男の人の家に行っていた』のだと。


その瞬間、自分の心は冷たくなった。


お母さんに愛されてなかった。


お父さんも仕事ばかり。
佐倉あなた
……気付きたく、なかった
私は幼いながら、頭だけはよく回る人間だった。


だから、どういう事かはすぐ理解した。


そしてお父さんは凄く怒っていた。
『怒る』という言葉で、言い表せないくらい。
お父さん
もう、お前とは縁を切る。
あなた、行くぞ!
隣の部屋から出て来て、お父さんは私にそう言った。
佐倉あなた
……え?
何処へ?何故?お母さんは?
家事はどうするの?私がしないといけないの?
お母さん
ご、ごめんなさい貴方っ!
もうしないからっ、だからっ!
お父さん
もういい、御託はいらない。
……じゃあ、一つだけ聞く。
あなたはどっちに着いてきたいか?
意味が分からない。


ワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ……!!
佐倉あなた
……どっちでも、いいよ
心の中と裏腹に、私は冷静に声を絞り出した。


本当は両親のどちらかに選ばれたかった。
それなのに……選んでくれなかった。
お父さん
どっちか、良い方を選べ
佐倉あなた
じゃあ、もう一度やり直してよ。
前と同じ空気じゃなくても、いいからさ
そう提案した。


二人は仕方なく許可してくれたけど、前のように笑い合ったり、話す事はなくなった。


そして──月日が経って『あの日』、時透無一郎くんに、告白された。


ー過去、NEXTー
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