第15話

Obsessive lover.10
3,219
2020/07/25 09:30
時透無一郎
時透無一郎
はぁ……。
これだけはしたくなかったのに
炭治郎の家に乗り込んで奪い返す……何としてでも。


僕は暴力が嫌いだ。
だから、流石にそんな事はしないけど。


『無一郎くん』
『分かってるなら落ち着いて』
時透無一郎
時透無一郎
そんなLINEくれたって……。
僕に響くと思ってるわけ?
「あなたが思わせぶりな事をしなければ良かった話なのにね」
「残念、がっかりだよ」


スマホ片手に僕はそう送る。


『なんで!?』
『無一郎くんはもっと、白かったよ!!』
時透無一郎
時透無一郎
なんでだろうね。
僕は、なんでこうなったのかな
黒、白、なんて色で著しても仕方がない。
事実なんだから、意味が無いんだ。
時透無一郎
時透無一郎
白、黒、それ以前に何があるの?
人に彩色で著す、なんて、馬鹿げてる。


「じゃあ何?あなたは今、何色なの?」
「僕が黒なら、あなたは何なの?」


その返事はなかなか来なかった。
悩んでいるのだろうか、沈黙を貫き通しているよう。
時透無一郎
時透無一郎
ほら、答えきれない
『私は……灰色』
『微妙、なんだよ』
『無一郎くんがいくら壊れようとも、私は味方してあげようと思ってる』
『でも』
時透無一郎
時透無一郎
でも……?
『このままじゃ、ダメだよ……』
時透無一郎
時透無一郎
ッ!!
その言葉はいやに僕の中を反芻した。


僕は──正しくない?


間違ってた?
時透無一郎
時透無一郎
間違ってても……ごめん、ごめん……。
僕は嫉妬という感情に囚われてから。
もう、何も考えきれない、消化できない
まるで呪文のように出てくる言葉達を拒否できないんだ……。


頬に何か冷たいものが伝う。
普通、暖かいはずのそれは、冬の寒さで冷えていく。


ごめん、と口先で言っても……納得いかないんだ。


ーNEXTー
作者
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