「あのね、無一郎くん」
「話を聞いて」
そう、LINEを送ると……。
『話はちゃんと聞いてる』
『あなたはわざと逃げたんだよね』
『それは知ってる』
そう、返ってきた。
やっぱり分かってはくれているらしい。
そう言えば玄関先だった。
少し肌寒くて、小刻みに私は震えてしまっている。
……もしかしたら寒さで震えてるんじゃないのかもしれないけれど。
……多分、かなり私が炭治郎くんや善逸くんや伊之助くんと話してたから。
苛立ったのだろう。好きな人が自分以外の男と話しまくっている、という事実に。
そう、それは付き合って1ヶ月の時の事。
まだ青くて、白くて、穢れた所なんて何も無かったある日の事だった。
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ー付き合って1ヶ月ー
ちょっぴり頬を膨らませて、歳相応の顔を見せる無一郎くん。もしかして……。
図星だったらしい無一郎くんは、顔を紅潮させる。
わ……か、かわいい。
お互い俯いて赤くなった顔を隠す。
炭治郎くんは、別に今はもう好きじゃないんだもの。無一郎くん、心配しなくても、
冗談冗談、と笑った無一郎くんは、綺麗だった。
心も、容姿も、全てが──。
ーNEXTー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!