そう言って紳士な面持ちで、無一郎くんは私に告白してきた。
無一郎くんとは、キメツ学園に入ってから一緒になったクラスメートのイケメン。
なんで、私なんだろう。
そう聞くと、
最初は、『何言ってるの、この子』って思ったけど、それって私の中まで、全部見てくれてるってことだ。
つまり、無一郎くんは私の事を本気で好きなんだ。
なら、その気持ちに応えたいな、って思った。
もう、ほとんど二つ返事だった。
流された訳じゃない。
無一郎くんは、私も好きだもん。
正直『恋愛』で好きなのかは、分かんなかったけど、どんどん、一緒に行事などを乗り越えて行ったりする度に、『好き』が増幅した。
『本当』という言葉を使うのはきっとこれが初めてだったかもしれない。
彼はその言葉が嬉しいのか、
この時まではきっと2人共今よりは純粋だった。
でも、今に至っては、何故こうなったのか、分からないと思ってしまう私がいる。
無一郎くんは、『愛してる』の発音が、少し高い気がするんだ。
『アイシテル』、そう聞こえる。
おっと、口に出てしまっていたようだ。
無一郎くんは、笑みを湛えながら私の様子を注意深く監察している。
軽く、そう口にしたら無一郎くんは心配そうに、
と、言ってくれた。
これはきっと、彼の心からの言葉なんだろうな。
苦笑しながら私は無一郎くんにそう言う。
……それが、いけなかった。
私は、判断を間違えてしまったんだ。
ーNEXTー
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。