第8話

Past and present
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2020/07/01 08:31
時透無一郎
時透無一郎
あなたが、好き……。
だから、付き合って欲しい
そう言って紳士な面持ちで、無一郎くんは私に告白してきた。


無一郎くんとは、キメツ学園に入ってから一緒になったクラスメートのイケメン。


なんで、私なんだろう。
佐倉あなた
……逆に、私でいいの?
そう聞くと、
時透無一郎
時透無一郎
僕──あなたのそういう、謙虚で少し裏ありそうで、黒い部分がありそうな所が、堪らなく好きだよ。
ゾクゾクするんだ
最初は、『何言ってるの、この子』って思ったけど、それって私の中まで、全部見てくれてるってことだ。


つまり、無一郎くんは私の事を本気で好きなんだ。


なら、その気持ちに応えたいな、って思った。
佐倉あなた
そっか!いいよ、付き合お!
もう、ほとんど二つ返事だった。
流された訳じゃない。
無一郎くんは、私も好きだもん。


正直『恋愛』で好きなのかは、分かんなかったけど、どんどん、一緒に行事などを乗り越えて行ったりする度に、『好き』が増幅した。
佐倉あなた
本当に、好きだよ。
無一郎くん
『本当』という言葉を使うのはきっとこれが初めてだったかもしれない。


彼はその言葉が嬉しいのか、
時透無一郎
時透無一郎
僕も。
本当に好き──
この時まではきっと2人共今よりは純粋だった。


でも、今に至っては、何故こうなったのか、分からないと思ってしまう私がいる。


無一郎くんは、『愛してる』の発音が、少し高い気がするんだ。


『アイシテル』、そう聞こえる。
佐倉あなた
私には、どうでもいい事だけど
時透無一郎
時透無一郎
何が?あなた、どうかしたの?
おっと、口に出てしまっていたようだ。


無一郎くんは、笑みを湛えながら私の様子を注意深く監察している。
佐倉あなた
両親の事だよ〜
軽く、そう口にしたら無一郎くんは心配そうに、
時透無一郎
時透無一郎
……辛いよね?
無理しなくていいからさ。
僕に身を委ねておけばいいんだよ?
ここにいたら、何もかも、忘れられるよ
と、言ってくれた。


これはきっと、彼の心からの言葉なんだろうな。
佐倉あなた
身を委ねるって……w
表現がw
苦笑しながら私は無一郎くんにそう言う。
……それが、いけなかった。


私は、判断を間違えてしまったんだ。


ーNEXTー
作者
作者
ヤンデレは美味しいのだっ
世界を救うかもしれないのだっ
次もよろしくなのだっ←?

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