《まい》
私と廉は駅のホームで電車を待っていた。
帰宅の時間をとっくに過ぎた夜中の駅のホームには斑にしか人がいなかった。
今日は……廉が電車に乗ってホテルに行っちゃったらもう終わりだ。
明日もサナと廉と遊んで、でもそれが終われば廉は東京に帰ってしまう。
……そっか、私たち遠距離になるんだ。
っていうか、私たちって付き合ってるの!?
た、確かに好きって言い合ったけど、付き合うとかそういう話はしていない……
え、私もう大学3年だよ??
なに初々しい高校生の恋愛みたいなことで悩んでるの〜!!
でも……わかんないんだもん!
そんなこんなで頭の中で悩み苦しんでいるうちに、あっという間に電車が来てしまった。
繋いでいる手を離さなきゃ……
大丈夫、明日会えるし、もう今日は充分幸せだし……
ここで……バイバイ……
気づいたときには私は廉に引っ張られて電車に乗っていた。
そして、思考が追いつく前にドアが閉まって電車が動き出す。
え!?え!!どうして……
廉の低い声が上の方から響く。
私かドアに背中を預けていると、廉はドアに腕をついて私を見下ろす。
すぐ目の前に廉がいて、私は恥ずかしくて顔を上げられない。
私は繋いでいた廉の手をギュッと強く握る。
ずっと……ずっと離したくない手を何度も何度も離してきた。
泣きながら苦しみながら、手を離さなきゃいけなかった。
だけと……
もう…離さなくていいんだ……
廉の手を握っていられるんだ……
その事実に私は嬉しくて泣きそうになった。
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廉が予約していたホテルは3駅ほどでついた。
鍵を差し込み、ドアを開ける。
ホテル特有の澄み切った匂いを感じながら、私は部屋に入った。
私は部屋に入った途端に、廉に腕を捕まれ壁に押し付けられる。
そして、そのままキスをされた。
握っていた鍵が落ちて、ガチャンと音をたてる。
だけど、そんなこと気にせずただ熱いキスを交わす。
舌を絡ませ、吸い付くようにキスをする。
ダメだ……溶けちゃいそう……
廉……廉……
私……どうなるんだろう……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。