第142話

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2022/08/03 13:00


《まい》


私と廉は駅のホームで電車を待っていた。

帰宅の時間をとっくに過ぎた夜中の駅のホームには斑にしか人がいなかった。

今日は……廉が電車に乗ってホテルに行っちゃったらもう終わりだ。

明日もサナと廉と遊んで、でもそれが終われば廉は東京に帰ってしまう。

……そっか、私たち遠距離になるんだ。

っていうか、私たちって付き合ってるの!?

た、確かに好きって言い合ったけど、付き合うとかそういう話はしていない……

え、私もう大学3年だよ??

なに初々しい高校生の恋愛みたいなことで悩んでるの〜!!

でも……わかんないんだもん!




そんなこんなで頭の中で悩み苦しんでいるうちに、あっという間に電車が来てしまった。

まい
あ、廉行かなきゃだね……
繋いでいる手を離さなきゃ……


大丈夫、明日会えるし、もう今日は充分幸せだし……


ここで……バイバイ……
まいも来て
まい
え!うわっ!?


気づいたときには私は廉に引っ張られて電車に乗っていた。

そして、思考が追いつく前にドアが閉まって電車が動き出す。

え!?え!!どうして……
今日は帰らせたくない


廉の低い声が上の方から響く。

私かドアに背中を預けていると、廉はドアに腕をついて私を見下ろす。

すぐ目の前に廉がいて、私は恥ずかしくて顔を上げられない。
まい
うん……いいよ

私は繋いでいた廉の手をギュッと強く握る。

ずっと……ずっと離したくない手を何度も何度も離してきた。

泣きながら苦しみながら、手を離さなきゃいけなかった。

だけと……

もう…離さなくていいんだ……

廉の手を握っていられるんだ……

その事実に私は嬉しくて泣きそうになった。






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廉が予約していたホテルは3駅ほどでついた。

鍵を差し込み、ドアを開ける。

ホテル特有の澄み切った匂いを感じながら、私は部屋に入った。

まい
わーキレイだね
えっ!んっ……あっ

私は部屋に入った途端に、廉に腕を捕まれ壁に押し付けられる。

そして、そのままキスをされた。

握っていた鍵が落ちて、ガチャンと音をたてる。

だけど、そんなこと気にせずただ熱いキスを交わす。
まい
んっ……はぁ…////
ちゅ……んっ…


舌を絡ませ、吸い付くようにキスをする。

ダメだ……溶けちゃいそう……

廉……廉……

今日は優しくしてやれねーかも


私……どうなるんだろう……




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