いつかまた巡り会えたら_______
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司会の声に合わせて、重厚なドアが開かれる。
そして、私はゆっくりと顔を上げる。
たくさんの人の拍手の中を私は歩く。
そして、観客席を進んだ先には_______
私は廉にベールを脱がしてもらう。
レースがなくなった視界には、私を見つめて微笑む廉がいた。
私の大好きな人。
私の……愛する人。
昔、2人まだうんと小さかった頃、夕焼けの公園で毎日のように遊んでたよね。
あの頃の私は、あの時間にすごく救われてたんだよ。
廉はいつだって、何があったって私のことを待っていてくれた。
だけど、中学生のときすれ違っちゃったよね。
高校生になってから勝手に友達に戻った私に、廉は何も聞かず合わせてくれたよね。
廉とサナと行った遊園地、すごく楽しかったよ。
廉が告白してくれた時、私も好きだったよって本当は答えたかったんだよ。
私とお兄ちゃんとの妊娠が発覚したとき、自分を犠牲にしてまで助けようとしてくれた。
私が一人の部屋で泣いていたら、廉が来てくれた。
大学生になった廉はすごく頼もしくなっててドキドキしたんだよ。
私のことずっと想っていてくれてありがとう。
ずっと待っていてくれてありがとう。
プロポーズしてくれてありがとう。
私と一緒に生きてくれてありがとう。
私を愛してくれてありがとう。
やっぱり今だって考えるよ。
私とお兄ちゃんが兄妹じゃなかったら。
あの時、私が飛び降りなかったら。
廉と昔公園で遊んでいなかったら。
きららが私をいじめなかったら。
「もしも」の世界線はたくさんあって、どれが最善の世界だとか、この世界は間違っているかなんてわからない。
だけど、どれだけ他の世界を思ったって、結局私がいるのは「今」なんだから。
だから私は________
"今でもお兄さんのことが好き?"
_______うん、好きだよ
「兄」として私はお兄ちゃんが好きだよ
廉、愛してる________
2人の唇がそっと合わさった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。