あなたが幸せでありますように______
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《まい》
声が震えてしまう。
体の震えが止まらない。
ねぇ……今見ているのは現実?
ここにいる人は……虚構?
ううん、私が間違えるはずがない。
ははっ、10年越しの再開だ。
今まで私は……
お兄ちゃんに認められたくて……
いなくなってしまったお兄ちゃんに立派な大人になったと認められたくて頑張ってきた。
どんなに辛いことがあっても1人で頑張ってきた。
やっと……やっと報われたよ……
あっ…………
お兄ちゃんに言われて初めて気がついた。
私の両目からは数え切れないほどの温かい涙が溢れていた。
10年前、私を振っていなくなったお兄ちゃん。
本当に1度も姿を見せなかった。
家族なのに……兄妹なのに……ずっとずっと会いたかったのに会えなかった。
だから……1人で頑張るしかなかった。
"今でもお兄さんが好き?"
5年前、廉に問いかけられた質問が私の心に響く。
わ…たしは……
私は___________
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。