《まい》
廉はずっとわたしを抱きしめたまま動かなかった。
う、嬉しいんだけど……さすがにここ外だし……ね??
廉は不服そうだけれども、私を離してくれた。
ま、待って待って……心臓が……
さっきから廉、ヤバいことしか言ってないよ!?
廉はそう言うと、私の手を握る。
温かいその手は私が5年間ずっと欲しかったものだった。
廉……
なんで……そんなに私のことを好きでいてくれるの……?
私は何度もあなたのことを裏切り続けてきたのに______
廉の不意打ちの言葉に私の心臓は飛び跳ねた。
ドキドキと心臓が鳴りすぎて、手まで震えてしまう。
ダメだって……廉にバレちゃう……
ずるいのはどっちだよ……
そんなこと言われて、誰がこれ以外の言葉を言うの……
小さな私が抱いていた、ほのかな想いがやっと叶った。
少し成長した私が、言いたくても言えなかった想いが実った。
そして大きくなった私が忘れられなかった想いが今ここにある。
私は笑顔でそう言った。
言いたくても言えなかった想いをやっと言える。
私はもう……我慢しなくていいんだ……。
もう!ホントに今日の廉はヤバいことしか言わないんだから……!
私と廉は手を繋ぎ合って、星空の下を歩いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。