《まい》
私は大きなため息をつきながら、机に突っぷす。
今は放課後。
私は教室に残って勉強してる。
3日前お兄ちゃんとヤってから、何だかお兄ちゃんとすごく気まずいの。
お母さんがいる前では普通なんだけど、2人っきりになると何だか私のこと避けるし……
いつもは手を握ってくれたりキスしたりしてくれるのに、ここのところ一切ないし……
私、お兄ちゃんのこと怒らせちゃったのかなぁ?
……お兄ちゃんとケンカしたままなのヤダな。
頭をノートで叩かれる。
こんなことするのは〜
廉__橋田 廉は私の男友達。
小学校からの付き合いで、小学3年生から中学3年生までずっと同じクラス。
えーっと、7年の付き合いになるのか。
よくイジワルしてくるし、私のことをバカにしてくるけど、1番信頼してる友達かも。
廉は私のワークを覗き込んでくる。
小学校の頃は私の方が背が高かったのに、今ではすっかり抜かされちゃった。
廉は私が座っている席の1個前の席に座る。
こういう時は、私の話を聞いてくれるときだ。
遠回しに話を聞いてくれようとするの。
廉の言葉に私の顔が熱していく。
廉はニヤニヤと私の顔を覗き込んでくる。
絶対疑ってる!
もう!イジワルなんだから
でも、私の好きな人はバレるわけにはいかないの。
……そうだよね。
廉の言うとおりだよ。
お兄ちゃんに避けられるからって私も避けてちゃいけない。
私から話しかけないと。
仲直りしないと。
だって、私はお兄ちゃんが大好きだから。
誰にも言えないけど、隠すしかない想いだけど。
それでも……好きなの……。
廉は私の頭をクシャッと撫でる。
廉はわかってるんだろうな。
私が嘘ついてるって。
でも言わないでいてくれる。
そんな不器用な優しさが大好きだよ。
ずっと私の「友達」でいてね。
私は立ち上がって、ワークやノートをかばんに詰める。
こうなったら善は急げだ!
はやくお兄ちゃんと話したい!
私は廉の顔を見ずに、教室を飛び出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。