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第60話

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2022/03/16 08:09
晴 人 。
な、なんで、
た つ や 。
...ごめん
ぎゅっ、と腕を掴まれた。まるで、「離さない」って言ってるみたいに。
晴 人 。
理由言わないと離さないから
た つ や 。
................
ハルの目は夜の真っ暗なところでも分かるくらいうるうるしてた。夜の街頭に反射して俺の目にその姿が入ってくる。
た つ や 。
理由なんてねぇし
ハルから無理やり腕を抜いた。思ったよりも力が出て、ハルはパッ、と腕を離してしまった。
晴 人 。
あっ、...
晴 人 。
やっ、やだ!!
た つ や 。
っ...!おい!!離せよ!!!!
晴 人 。
やだ!!!
た つ や 。
お前いつまでッ...
いつまで子供なんだよ。なんて、言おうとしたのに、口が動かなかった。ハルは肩をふるふる震わせてまだ一生懸命に手を掴んでいる。
晴 人 。
やだ...ッ!
た つ や 。
はる...
た つ や 。
ごめん...理由は言えない
た つ や 。
きっと...悲しむから...
晴 人 。
えッ...
た つ や 。
最後に二人に会えるのが結婚式で良かったなって思ってる
た つ や 。
楽しかった
た つ や 。
はる、たいが…
た つ や 。
今までありがとう
無理に笑顔を作ったつもりが、目からまた涙が伝った。

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