第92話

answer.2
13,080
2021/02/20 13:47
瑠奈𝑠𝑖𝑑𝑒














西谷夕
《瑠奈さん‼︎試合見に来てください‼︎》
瀬川瑠奈(るな)
《え?》






春高予選が始まる少し前の夜,
いつも通り電話をしていたら,そんなことを言われた
















瀬川瑠奈(るな)
《あぁ,もちろん行くつもりだよ》
西谷夕
《え,まじですか‼︎嬉しいです‼︎》
瀬川瑠奈(るな)
《まぁ,だってあなたいるし…》









あなたが部活に戻ったって聞いた時から,
最後くらいは見に行こうって侑李と話してた




実は試合始まる日からリヲ裙のイベントが始まるけど
やっぱ親友の大切な日だしね,
私だって人間だし









     “ 今年は全国制覇するからね‼︎ “



そう笑顔で言っていたあなたの顔が思い出される





あんなに一生懸命にまっすぐに何かに立ち向かおうとする人って,素敵だと思う









私も,そんな風に思えることができるのかな,
なんていう密かな憧れを持っている









だからこそ,あなたの願いというか




目指しているところにたどり着いて欲しい




ほら,三度目の正直って言うじゃない?




一年生,二年生も,



名前は覚えてないけれど,毎年全国に行ってる強豪校に敗れているらしい



だから,その云々を晴らしてほしいといいますか












































西谷夕
《…どっちを応援することになるんですかね》
瀬川瑠奈(るな)
《え?》
西谷夕
《いや,その…,青城と烏野のどっちをって思っちゃって》







そんなのあなたがいる青城に決まって…




















…あ








そっか,ノヤ君がいるのは烏野…














瀬川瑠奈(るな)
《あ,あぁ,うん,そうだね,えっと,うん,えっと…》


やばい,動揺バレバレだ



西谷夕
《いえっ,瑠奈さんは青城を応援してください‼︎》
西谷夕
《そりゃそうですよね,あなたさんいるんですし…アハハ》



彼は力なく笑った



彼の声は少し寂しそうだった





こんなことを,こんな状況の中で思うのは良くないかもしれないけど,
彼がもし私に応援して欲しいと思っていたのなら







…なんだろう,ちょっと嬉しいかも









瀬川瑠奈(るな)
《……》
西谷夕
《る,瑠奈さん?》
瀬川瑠奈(るな)
《あ,あぁごめんごめん,えっと》





なにか答えないとダメだよね


でも,青城に行くって言って彼を落胆させたくない




けど,烏野を応援,なんて言ったら,あなたを裏切るみたいになっちゃう

































…はやくしろ,はやく考えろ,私の答えは




















瀬川瑠奈(るな)
《…ごめん,私,青城を応援する》











































西谷夕
《…ぇ,あ,そうですか,やっぱそうですよね‼︎》



























…うん,これでいい







































瀬川瑠奈(るな)
《けど,ちゃんとノヤ君も見てるから》
瀬川瑠奈(るな)
《…ちゃんと,“ 見てる “ から》
西谷夕
…!












こんな甘ったるくて,曖昧な言葉じゃいけないのかもしれない






けど,私は私として,
支えてくれたあなたを応援したい
あなたが夢を叶えたところを見たい











…けど,
ノヤ君のことも,見ていたい



これが少女漫画みたいな話だったら,この理由は絶対に “ 好きだから “ だろう


けど,私は好き,とかじゃない
多分,好きという気持ちには辿り着けない気がする




けど,間違いなく彼がいたから私が変われたのは事実で



こんな私に,外の世界を彼も知らずのうちに教えてくれた







人として最高な彼の “ 大好きなことをやっている姿 “ を見てみたい














…から,だね








西谷夕
《…俺,瑠奈さんのこと,
























え,?


























































































西谷夕
…好きじゃないです》
瀬川瑠奈(るな)
《…は







あれあれ,思ってたのと違いますな









ゲームのやりすぎか?












西谷夕
《いやっ,なんというか,その…
西谷夕
今日までは好きでした,瑠奈さんのこと》
瀬川瑠奈(るな)
《今日までは?》
西谷夕
《はい,てか,普通に恋してたんですよ,瑠奈さんに》









あれ,え,これ,告白?













西谷夕
《だから,試合も見に来て欲しいし,もっと喋ってたいし,傍にいてほしいって思ってたんです》
西谷夕
《…全部,好きだからの理由で》
瀬川瑠奈(るな)
《……》


























西谷夕
《けど俺,さっき瑠奈さんに “ 見とく “ って言われた時に,すっごい瑠奈さんらしいなって思ったんです》
瀬川瑠奈(るな)
《…ぇ?》
西谷夕
《いや,あの,そりゃ応援して欲しかったけど,瑠奈さんの真っ直ぐ考えてるとことか,ぶれないなって w 》
瀬川瑠奈(るな)
《…は,はぁ》
西谷夕
《だから,瑠奈さんの傍にいたいとかそういうのって,全部俺の我儘だったんだなって思ったんすよ》
西谷夕
《…ので,瑠奈さんは恋愛的じゃないのかもって》
西谷夕
《いや,俺恋愛したことないんで全然わかんないすけど‼︎》
西谷夕
《…なんていうか,その,》


































瀬川瑠奈(るな)
《ぶっ…
瀬川瑠奈(るな)
あははっ‼︎》
西谷夕
《…え,え?》












もう,そういうところもノヤ君らしい






















瀬川瑠奈(るな)
《そうだね,うん,私ちゃんとノヤ君のこと見てるよ》
西谷夕
《‼︎,はい‼︎頑張ります‼︎》









あっち側にいるけど,向こうのコートを眺める時の視線は,


常に君にあるから








































































瀬川瑠奈(るな)
《…おやすみ》
西谷夕
《おやすみなさい‼︎》












そうだ,リヲ裙のゲームを攻略するのに時間をかけるように



私達は私達のペースで,時間をかけていきたい,なんて


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長 す ぎ る わ

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