第12話

#10
357
2022/12/25 12:30
モトキside.
モトキ
みんな寝静まって、物音1つしない夜。

俺は、中々寝付けないでいた。
モトキ
…(何が、解放されるんだよ。)
奇妙な声の内容は、毎回同じ。

何かが「解放される」と俺に訴えてくるばかりだ。
『Ce qui est libéré,――』
モトキ
っ…。
脳裏に声が反響する。
『Ce qui est libéré, c'est le pouvoir d'oblitération.―――――』
モトキ
っ…うるさいっ…!!
モトキ
なんで俺がっ…!
「魁を、何からも守ってくれるから。」
モトキ
あ…っ…。
モトキ
…何、からも…?
違う。ただの子供騙しだ。




…でも、今は縋らずにはいられない。
「Ce qui est libéré, ――――」
この声が、無性に気味が悪い。
モトキ
…イフェシー、
空気が少し、歪んだ気がした。
モトキ
…イフェシー、トゥー。
モトキ
モトキ
…何も、変わるわけ――――。
そう零した途端、響いたのは、
バンッッッッッッ!!!!
モトキ
は、
大きな爆発音。
ウゥーッ、ウゥーッ、ウゥーッ…!!!

遠くでサイレンがなる。
モトキ
な、何…?
ガチャ!!
シルク
モトキっ…!無事かっ!?
モトキ
シルク…っ!
モトキ
俺は大丈夫…っ、みんなは…?
モトキ
一体何が―――!?
『…見つけた。』
狂戦士
『――の子。』ニマッ
シルク
!?
シルク
モトキ、伏せろっ!!ガッ
いつの間にか血で生成した武器を手にしたシルクが俺の前に立つ。

みんなから異能の説明は受けていたが、目にするのは初めてだ。


遠くからバタバタと足音が近づく。
マサイ
モトキ無事かっ!?
ンダホ
こっち来い!モトキ、お前は逃げろ!
ダーマ
おい待て。…見える範囲だと囲まれてる。ここからモトキが逃げるのは無理だ。
…今は俺の事なんて…!
モトキ
…お、俺は大丈夫だから。みんなはシルクを助けてあげて…!
ザカオ
…モトキの言う通り、ここはシルクに応戦してモトキ守った方が得策じゃないかな。
ンダホ
…っ
ンダホ
…ちゃっちゃと終わらせよう。
ダーマ
マサイ、Manaどこ。
マサイ
…Mana、起動。
Mana
…起動いたします。
Mana
現在、登録外異能所持者は約50名。異能警戒ランクに応じて情報を処理いたします。
モトキ
…50人も…。
Mana
Aランク 該当者1名。異能は―――
マサイ
ダーマ、とりあえずシルクんとこ行って。応戦頼む。
ダーマ
ん。タッ
マサイ
ザカオとだほは裏口付近を重点的に。モトキの逃げ道を作りたい。
モトキ
っ、だから俺のことは…!
マサイ
お前に死なれちゃ俺がリーダーにぶっ飛ばされんの。…大人しく守られといて。
そう言って笑いかけるマサイの目は、いつになく冷静だった。
ンダホ
おけ、行こう!
ザカオ
ん。だほ西側から頼む!
そうやって、2人も走り去る。
マサイ
モトキ
っ…!
マサイ
…ここにも来たか。
狂戦士
…チッ、護衛付きかよ。
マサイ
こいつに手は出させないよ。
Mana
…対象者、異能ランクA。
モトキ
え、
Aって確か、この中に1人しか居ないんじゃ…
マサイ
…主犯格が早々にお出迎えって訳ね。
狂戦士
主犯格なんて、人聞き悪いなぁ。
狂戦士
…分を弁えろ。殺すぞ。
Mana
異能「燃焼」です。
赤い炎が、周囲を包んだ。

プリ小説オーディオドラマ